子どもの「考える力」を伸ばす取り組みと注意するポイントについて

積み木

自ら強い意志を持って生きていくために、子ども自身の「考える力」を伸ばしてあげたい。そう考える親は少なくありません。では、考える力を伸ばすために具体的にどのような教育が良いのか、子どもとどのように関わっていけばいいのか分かる方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、ご家庭でできるお子様の「考える力」を伸ばす取り組みをご紹介します。「考える力」を伸ばす取り組みの中で注意するポイントも交えてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

なぜ「考える力」が子どもに必要なのか

なぜ「考える力」が子どもに必要なのか

厚生労働省の「学習指導要領改訂の考え方」によると、「新しい時代に必要となる資質・能力」の一つとして「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成」があげられています。

AIの技術やグローバル化など、これから劇的な変化が起き続ける世界になっていくことでしょう。そうした中で、様々な情報に振り回されないために、「考える力」を養い、周囲に流されず正しく判断できる力が必要になります。

思考力について

学習指導要領に載っている「思考力」は幅広い意味を持ち、様々な思考方法や能力のことを示しています。その中でも代表的なものとして、「論理的思考力(ロジカルシンキング)」「批判的思考力(クリティカルシンキング)」があります。

今回は、その2つの能力についてご説明します。

論理的思考力(ロジカルシンキング)

論理的思考力(ロジカルシンキング)とは、「筋道をたてて物事の整理を行い、原因やその根拠、そして結論を考える力」です。この思考力を伸ばすことによって、人間関係を築く上で必要な「問題解決能力」や「コミュニケーション能力」などを伸ばすことができます。

お子様はこれから様々な困難に立ち向かっていかなければなりません。

例えば、学校生活ではグループで課題に取り組むこともあるでしょう。その際に、自分の意見を相手にわかりやすく伝えたり、相手の意見を理解したりするために「論理的思考力」が必要になってきます。この思考力があれば、筋道をたてて友達とコミュニケーションをとることができるでしょう。

批判的思考力(クリティカルシンキング)

批判的思考力(クリティカルシンキング)とは、「物事を常識にとらわれず多角的・論理的に考える力」です。この思考力を伸ばすことによって、情報を正しく選択する上で必要な「本質を見極める能力」や多角的な視点を持つことによる「発想力」などを伸ばすことができます。

テレビやインターネット、SNSなどでは様々な情報が飛び交い、お子様だけでなく保護者も情報の多さに混乱することがあるでしょう。このような場合、情報の正確さを客観的に確認するなど、「批判的思考力」が必要になってきます。この思考力があれば、正しい情報収集やその情報に対する問題点・解決策を見つけることができます。

入試でも思考力を問う問題が増えています

近年、公立高校の一般入試などでは思考力・判断力・表現力を求められるような問題が出題されています。

例えば、1つの意見に対しての反論を記述する問題が出題されたり、ジェンダーなどの現代社会の課題について、自分の意見を記述する問題も出題されました。海外の大学入試では、すでにこのような問題が出題されています。こうした傾向から、今後も更に思考力を問う問題が出題されることが考えられます。

家庭で出来る子どもの「考える力」を伸ばす取り組み

家庭で出来る子どもの「考える力」を伸ばす取り組み

まず親子でのコミュニケーションが大事です。親子であれば共通の話題が多く、一緒に暮らしている分、コミュニケーションをとる機会も多いでしょう。そのコミュニケーションの中でお子様が気付き、「なぜ?」と疑問を持てる習慣を身につけられるような言葉かけができれば、お子様の考える力を伸ばすことができるでしょう。

ここでは、家庭で出来る考える力を伸ばす取り組みについて、ご紹介します。

将来の自分を意識させる

将来の自分を意識させるためには、お子様が具体的な目標を持てるようにすることが重要です。今、アメリカのメジャーリーグで活躍している大谷翔平選手は、高校時代にマンダラチャートを作成していたそうです。

マンダラチャートとは、9×9の合計81マスあるシートを活用した目標達成シートのことです。中心の3×3のマスの真ん中に目標を書き、その周囲の8マスに目標を達成するために必要な要素、そして更に、先ほどの8マスに書いた要素を伸ばすための方法を書きます。

このように、ある目標を達成するための方法を細かく決めることで、将来に向けて具体的に何をすれば良いか考える力が養われます。

常日頃から話題を持って具体的な話をする

日常の中には、話題にあげられるような出来事が多くあります。その話題を具体的に話し、内容を広げていくことで考える力を伸ばすことができます。これからご紹介する内容を参考に、お子様とコミュニケーションをとってみましょう。

時事ニュースを話題に話し合う

テレビやネットでは、さまざまな時事ニュースを見ることができます。

例えば、朝のニュース番組は主に前日までに起きた出来事をニュースにとりあげています。朝ご飯を食べている時にテレビでニュースを流し、取り上げている内容をお子様と話してみましょう。「昨日の大雨はひどかったね。避難警報が出た時、どこに避難したら良いと思う?」など、ただコメントをするだけでなくお子様に質問をしてみると、コミュニケーションのきっかけになります。動物園で生まれた動物の赤ちゃんのことなど、楽しいニュースの感想を聞くと、お子様も答えやすいかもしれません。

また、ニュースを通してさまざまな知識を得ることもでき、お子様自身が疑問を持つきっかけにもなります。お子様の「なぜ?」や「気になる」を引き出すコミュニケーションをとってみましょう。

読書・映画鑑賞を話題に話し合う

本や映画などの作品には、必ず意図やメッセージがあります。それらの作品をみることで、さまざまな考えに触れることができます。小さいお子様の場合は、まずは絵本から始めてみましょう。

大きいお子様の場合は、子ども向けのアニメ映画を一緒に鑑賞してみると良いでしょう。お子様自身が見つけたことを保護者が言葉に変えていくことによって、お子様は言葉を覚えていきます。そして、「なんで〇〇なんだろうね?」とお子様に質問していくことによって、疑問を持ち、お子様の発想力を伸ばすことができます。

好きなものを話題に話し合う

好きなものについて聞かれると、つい熱弁してしまう方が多いと思います。それは子どもも一緒です。お子様が日頃興味を持っていることを見つけ、話しかけてみてください。

例えば、好きなYouTuberがいるようでしたら、「どんな人?」「どんなことしているの?」と聞いてみると良いでしょう。YouTuberの場合、さまざまな企画を動画にしている方が多いです。その企画についてもお子様と深掘りすると、お子様自身も新たな発見をすることができるかもしれません。

話し合いは納得がいくまで行うこと

お子様が大きくなるにつれて、お互いの意見が合わずにコミュニケーションがうまくとれないことも出てくるかもしれません。しかし、そこで終わってしまうとお子様も「うまくいかなかった」という気持ちしか残りません。感情的にならず、お子様が持つ意見に耳を傾け、なぜそういう意見を持ったのかを聞き出しましょう。このようにすることで、お子様も自分の意見を言葉にする力と考えを整理する力を伸ばすことができます。

子どもが自分で考えるための時間を与える

子どもの考える時間はゆっくりで、つい急かしてしまうこともあるかもしれません。しかし、急かすことで子どもは考えることをやめてしまう場合もあります。それはお子様の考える力の成長を妨げることになってしまいます。保護者は聞く姿勢を保ち、お子様の考える時間を十分に取ってあげることが重要です。もし行き詰まっているようであれば少しだけヒントをあげて、お子様自身が考えられるように促しましょう。

答えより、答えに至る過程を大事に

中学・高校・大学の入試では、解答だけでなくそれに至る過程を評価する問題も出題されています。このように、過程を説明できる力が今後求められてきます。お子様が疑問を持った時、疑問に疑問で返すなど、コミュニケーションの中でその疑問について深く考え、答えに辿り着くようにすると考える力が養われます。正しい答えが出なかったとしても、「しっかり考えられたね」とお子様の考えを認めるように心がけてください。

一緒に問題解決に取り組む

お子様の疑問の答えが分からない時は、ぜひ一緒に調べたり考えたりしてみてください。保護者と一緒に問題解決することも、お子様の考える力を伸ばすことに繋がります。子どもだけだと、どう調べていいか分からないことが多いですが、親と一緒であれば、辞書やインターネットなど、さまざまなツールがあることを知ることができます。また、子どもにとって親は身近なお手本です。親にも分からないことがあり、分からない時は調べたり考えたりするということを伝える良いきっかけになるはずなので、問題解決は一緒に取り組むようにしてみましょう。

子どもの「考える力」を伸ばすために注意すること

これまで、お子様の考える力を伸ばすための取り組みについてご紹介しました。しかし、ポイントを押さえてコミュニケーションを取らないと、偏った考えや子どもの意欲を損ねてしまうかもしれません。ここでは、そうした取り組みの中で注意するポイントについてご紹介します。

先回りして答えを出さないこと

親が先回りして答えを出すと、正解か不正解かの二択の考えを持つようになり、子どもの考える力は育ちません。答えが分かっていたとしても敢えて伝えず、お子様の「気づき」を待ちましょう。もし答えが間違っていたとしても否定せず、「そう思ったんだね」など、答えを受け止めてあげてください。

間違いをすぐ訂正しないこと

子どもの間違いを、ついその場で正してしまうこともあると思います。しかし、「失敗は成功のもと」ということわざの通り、失敗は成功につながるほどの価値があります。お子様が間違えたとしても、温かく見守る姿勢を持ってください。そうすることで、お子様は「失敗してもいい」という考えを持つようになり、チャレンジ精神を持てるようになります。

否定しないこと

子どもは好奇心が旺盛で、さまざまなことに興味を持ちます。お子様が興味を持ったことを、「知らなくてもいい」と否定しないようにしましょう。まずはお子様の興味に共感を示し、対等に関わり、お子様が話しやすい環境を整えましょう。

「考える力」は将来どう役立つのか

これまで考える力の必要性や、その力を伸ばす上での注意点などをご紹介してきました。ここでは、考える力がお子様の将来にどう役立つのかをご紹介します。

将来を生き抜く力のベースになる

冒頭でもお伝えしたとおり、これからAIなどの技術が更に発展し、今以上に変化の激しい時代がやってきます。そのような時代において、自分が将来どういう人間なりたいかを決め、自らの判断で道を切り開くには、考える力が重要になってきます。小さい頃から考える力を養うことによって、情報を見極め、臨機応変に生き抜く力を持つことができます。そのためにも、お子様の小さな興味関心を見落とさず、関わっていくことが必要です。

学習意欲を高める

小さい頃から考える力を養うことは、就学後の学習意欲を高めることにも繋がります。椅子に座って集中して勉強することは、遊びが好きな子どもにとって難しいことです。しかし、先々のことを考える力や興味を持つ力があれば、勉強に必要性を感じ、分からない問題があったとしても疑問を持って取り組むことができます。

また、親が子どもの関心に向き合ってくれた経験があれば、子どもは「間違っても認めてもらえる」という考えを持つことができます。失敗を恐れず学習意欲を持ち続けられるよう、お子様を応援しましょう。

人間関係を構築する上で役立つ

考える力は、相手の気持ちを理解する上でとても重要な力です。コミュニケーションの中で、「今どんな気持ちなんだろう」と相手の気持ちを想像する力は、相手の立場になって考える力が必要です。考える力があれば、自己中心的ではなく、相手に配慮できるコミュニケーション能力が育ちます。

まとめ

ご紹介したとおり、お子様の考える力を伸ばす方法はさまざまです。無理に全てを行うのではなく、お子様にあった方法を試してみてください。また、考える力を伸ばすにはコミュニケーションが欠かせません。たくさんコミュニケーションをとり、お子様が自信を持って生きていけるよう接していきましょう。

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