なぜ子どもは同じ絵本を繰り返し読みたがるの?その効果と読み聞かせの切り上げ方

子どもに絵本の読み聞かせをする際、「もう一回!」と同じ絵本を何度もせがまれたことはありませんか? 

何度も繰り返し読んでいるうちに大人の方が飽きてしまったり、もっと色々な種類の絵本を読んでほしいのに…と悩んでしまったりしますよね。 この記事では、子どもが同じ絵本を好む理由や、繰り返し読み聞かせる効果、読み聞かせの切り上げ方などについて紹介します。絵本の読み聞かせに悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

同じ絵本を何度も読まされる理由

同じ絵本を何度も読まされる理由

子どもが同じ絵本を何度も読んでもらいたがるのには、どんな理由があるのでしょうか? 大人からすると「また同じ絵本?」と思ってしまうときでも、その理由が分かっていることで、子どもの気持ちに向き合ってあげようと思えるはずです。

敏感期という概念

理由の1つとして挙げられるのが、モンテッソーリ教育における「敏感期」という概念です。 

敏感期とは、ある特定の能力や動きを身に付けるために、感受性が強くなる時期のことをいいます。敏感期にいる子どもは、集中して同じことを繰り返す特徴があると言われています。 敏感期は6つの分野に分かれており、言語の敏感期に当たるのがちょうど0〜3歳頃であるため、その時期の子どもが同じ絵本を好む一因であると考えられます。 

敏感期というのは誰もが通る道なので、「同じ絵本を何度も読んでほしい!」という子どもに「うちの子は大丈夫かしら…」と焦る必要はありませんよ。「今はこういう時期なんだ」と受け止め、付き合ってあげましょう。 

安心につながる

もう一つの理由は、繰り返し同じ絵本を読んでもらうことが子どもの安心につながるということです。 

上で述べたように、3歳頃までの子どもは、気に入ったことを満足するまで繰り返す特徴があります。そのため、自分の気に入った絵本を繰り返し読みたい、というのは子どもの自然な姿なのです。 

そうして同じ絵本を何度も読むうちに、子どもは「次はこれが出てくるよ」「あの言葉が出てくる」と、なんとなく話の展開を覚えていきます。気に入った絵本であることに加え、絵本の展開が予測できることがさらに安心感につながり、何度も読んでほしいと思うのです。

繰り返し読み聞かせることで得られる効果

子どもが同じ絵本を好むのには理由があることがお分かりいただけたかと思いますが、同じ絵本を繰り返し読み聞かせることでどんな効果があるのでしょうか?説明していきますので、読み聞かせをする際に意識してみてください。

語彙力や表現力の向上

子どもと過ごす中で、独特な言い回しをしていたり、知っている言葉が増えていたり、独特な言い回しをしたりすることにして驚いたことはありませんか? 

繰り返し絵本を読み聞かせることで、誰かが教えたわけでなくても、いつの間にか子どもの語彙力や表現力の向上につながっているんです。 例えば、動物がたくさん出てくる絵本を繰り返し読んでいれば、自然と動物の名前が分かるようになり、語彙が増えます。また、何かを引っ張るときに「うんとこしょ どっこいしょ」(大きなかぶ※)、手を洗うときに「みず じゃあじゃあ」(じゃあじゃあびりびり※)など、絵本に出てくるセリフをそのまま生活の中で使うようになり、表現力が豊かになります。 

毎日同じ絵本を読むことが苦痛だ、と思う方もいると思いますが、子どもの言葉の発達に大きな影響を与えていると考えて、前向きな気持ちで関わってみてください。 

※参照絵本

大きなかぶ 著者:アレクセイ・ニコラエヴィッチ・トルストイ、 レビン・キプニス

じゃあじゃあびりびり 著者:まついのりこ

繰り返し読まれる本の特徴とは

繰り返し読まれる本の特徴とは

子どもにたくさん読んであげたくて色々な絵本を揃えたけど、全然読まれていない本がある…なんてことはありませんか?せっかく絵本を揃えるなら、子どもが繰り返し読みたくなるような絵本を選びたいですよね。 お茶の水女子大学教授の横山真貴子博士らの論文によると、繰り返し読まれている絵本について3つの特徴が示されています。 

1つ目は、「主人公に自分を置き換えられること」

2つ目は、「興味をもつ対象が描かれていること」

3つ目は、「展開の予測が容易なこと」

「同一絵本の繰り返し読み聞かせの分析(2) : 繰り返し読まれている時期と絵本の特徴」 横山 真貴子, 無藤 隆, 秋田 喜代美 著 

これら3つの特徴を意識し、お子様がそのとき興味をもっていることに関連した絵本や、絵本の世界に入り込めるような内容の絵本を選ぶことで、繰り返し読みたくなるお気に入りの一冊になるかもしれませんね。

エンドレスの読み聞かせを切り上げる方法

同じ絵本を読むことが子どもの成長につながるといっても、エンドレスで続くと正直辛い…と思ってしまうこともありますよね。 読み聞かせを早く切り上げたい、と思ったときに効果的な方法を紹介していきますので、参考にしてください。

次の行動を事前に伝えておく

まずは、絵本を読み始める前に次の行動を知らせる方法です。 

「これを読んだら寝るよ」「あと1回で絵本さんバイバイだよ」など、子どもの年齢に応じて分かりやすい言葉で予告してみましょう。 

初めは、言葉の意味が分からなかったり、気持ちが切り替えられなかったりしてうまくいかないこともあると思いますが、引きずられずにきっぱりと伝えることが大切です。繰り返し伝えていくうちにだんだんと見通しがもてるようになり、スムーズに終えられるようになっていきますよ。

遊びを切り替える

2つ目は、違う遊びを提案することで気持ちを切り替える方法です。 

読み聞かせがエンドレスになりそうだな…と感じたタイミングで、がらっと気持ちが変わるような遊びを提案してみましょう。好きな動画を見る、工作をするなど、気に入った遊びに気持ちが向くよう促していくことで、いつの間にか気持ちが切り替わっていることがあります。また、家で気持ちの切り替えが難しいようなら、外に散歩に出かけて環境を変えることも1つの方法です。

同じ作者の違う本をすすめてみる

3つ目は、子どもが気に入っている絵本と同じ作者の違う絵本をおすすめする方法です。 

絵本に出てくるキャラクターを気に入っている場合、同じキャラクターが出てくる違う絵本も気に入るかもしれません。また、同じ作者であれば絵柄の雰囲気や色味が似ていることが多いので、興味をもちやすいと思います。シリーズ化して何冊も出版されている絵本も多数あります。気分転換を兼ねて図書館や本屋さんに出かけ、新たなお気に入りを探してみるのもいいですね。

まとめ

子どもが同じ絵本を繰り返し読みたがる理由やその効果、切り上げる方法などについて紹介しました。 

同じ絵本を繰り返し読み聞かせることは、子どもの成長に大きな影響を与えてくれます。何度も付き合う大人は大変ですが、いつか子どもが大きくなったとき、思い出して懐かしくなる日が来ると思いますよ。 

今しかできない大事な時間と捉えて、適度に気分転換もしながら読み聞かせの時間を一緒に楽しんでみてくださいね。

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