幼児期からの音読が子どもにもたらすメリットとは。効果的な音読の方法と、親が知っておくべき子どもへの接し方。

小学生の頃、誰もが1度は宿題に出された経験のある音読。そんな、いつの時代も宿題の定番として行われている音読ですが、実際のところ文章を読む練習を毎日のように取り組む必要はあるのでしょうか。

本記事ではそういった疑問にお答えするため、幼児期から音読をすることで子どもにもたらすメリットと、より効果的な音読方法について解説します。親が注意するべき子どもへの関わり方も一緒にご紹介しますので、ぜひ幼児期から音読を習慣的に取り入れる参考にしてください。

目次

音読で得られるメリット

音読で得られるメリット

ただ文章を読むだけの作業に思える音読ですが、最近の研究から脳の働きに大きなメリットを与えることがわかっています。音読をするためには、「字を読む」「声に出す」「耳を使って聞く」など脳は複雑な処理を行わなければいけません。そのため、脳全体が活性化され、様々なメリットをもたらすのです。文部科学省が刊行している、小学校学習指導要領でも音読のメリットについて以下のように記載されています。

(前略)音読には,自分が理解しているかどうかを確かめる働きや自分が理解したことを表出する働きなどがある。このため,声に出して読むことは,響きやリズムを 感じながら言葉のもつ意味を捉えることに役立つ。また,音読により自分が理解 したことを表出することは,他の児童の理解を助けることにもつながる。(後略)

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編

音読は子どもの読む力を養うだけでなく、脳を刺激し、文章への理解をより深めることができるのです。

読解力を向上させる音読

読解力は国語に限らず、他の強化の文章問題を正しく理解する上でも必要です。音読はそんな読解力を向上させる効果があります。音読と言うと「小学生の宿題」をイメージする人も多いと思いますが、音読出来ない状態で黙読を行っても内容の理解度は低くなりがちです。

また、子どもの音読を聞くことで、下記のようなメリットが生まれます。

読み飛ばしに気がつく
言葉を理解していない
単語の読み方が間違っている
文節を間違って区切っている

子どもの音読をチェックする上で大事なポイントは下項目の【子どもの音読に対する親の接し方】でも解説しています。

音読・朗読・黙読の違い

同じ「文章を読む」という意味を持つ、音読・朗読・黙読という言葉がありますが、これらの言葉の違いはご存知でしょうか。音読・朗読・黙読には目的や行動そのものに違いがあります。

 行動目的表現力や発音技術力
音読声に出して読む自分のために読む不要
朗読声に出して読む自分以外の誰かに読み伝える必要
黙読声に出さずに読む自分のために読む不要
音読・朗読・黙読の違い一覧

音読と朗読は小学校の教育内容にも含まれており、その具体的な違いは小学校学習指導要領にも記されています。

(前略) 音読では,これまでに身に付けてきた,声の大きさや抑揚,速さや間の取り方といった音読の技能を生かすことが重要である。朗読は,読者として自分が思ったことや考えたことを踏まえ,聞き手に伝えようと表現性を高めて,文章を声に出して読むことである。音読が,文章の内容や表現をよく理解し伝えることに重点があるのに対して,朗読は,児童一人一人が思ったり考えたりしたことを,表現性を高めて伝えることに重点がある。(後略)

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編

以上の表や引用文からわかるように、音読は自分の理解のために読むのに対し、朗読は聞き手に伝えることを目的としていることがわかります。低年齢のうちに音読で育まれた技術は、誰かに読み伝える朗読へと発展させる際、その表現の質を上げてくれますよ。

音読は子どもにどんなメリットがあるか

音読が脳の活性化に繋がり、メリットをもたらすことはご紹介しましたが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは音読がもたらす以下9つのメリットについて詳しく解説します。

・文章内容を理解しやすい
・読解力が高まる
・記憶力が高まる
・集中力が高まる
・黙読のスピードが高まる
・勉強意欲が高まる
・コミュニケーション能力が高まる
・落ち着きが生まれる
・自制心が育つ

意外に思われるメリットもありますので、ぜひ音読効果の理解にご活用ください。

文章内容を理解しやすい

音読をすることで1番実感できるメリットが、文章や言葉の意味を理解することです。黙読していて理解が追い付かなかった文章が、声に出して読んでみることで意味が理解できたという経験のある方も多いのではないでしょうか。これは、音読を行うために脳が言葉のひとつひとつを把握しようと働きかけるため、文章の理解が深まる仕組みになっています。音読を癖付けておくことで、学習の際の問題理解にも役立つかもしれませんよ。

 語彙力・読解力が高まる

音読は黙読と違って、言葉のひとつひとつを正しく読む必要があります。そのため、わからない漢字があったり、言葉の意味を理解できていなかったりすると、文章の切れ目や流れがわからなくなり上手に読み進めることができません。つまり、音読には文章中に出てくる多くの言葉の読み方や意味を理解することが必要不可欠となるのです。それにより語彙力が自然と向上し、文章全体を読み解く、読解力も育まれますよ。

記憶力が高まる

音読と脳の関係性については前述しましたが、音読のように五感を使ってインプットやアウトプットを繰り返した情報は記憶に残りやすいと言われています。特に脳の中でも記憶や学習をつかさどる、前頭前野と呼ばれる場所は音読によって活性化することが明らかになっています。記憶力向上のためには、音読で脳に定期的に刺激を与えるのが効率的でおすすめです。

集中力が高まる

音読をする中で、文字を正しく読んだり、言葉を見逃したりしないようにする姿勢は集中力を高めます。特に聞き手がいると、「間違えないようにしたい」という思いがより強くなるため、1人のときよりも集中力が増すのでおすすめです。日常的に音読することで、集中するスイッチの切り替えが自然と身に付くかもしれませんよ。

 黙読の能力が高まる

音読を繰り返し行い、文章理解を深めることで黙読の能力も上がります。音読の経験が未熟なままでは黙読をしても、読めない漢字や言葉の意味をわからないままにして読み進めてしまいがちです。しかし、音読で文章を正確に読む力を鍛えると、黙読のときにも正確に読み進められるようになり、かつスピードも速くなります。黙読の能力が上がることで、読解力や語彙力もより向上するなどの良いサイクルができますよ。

勉強意欲が高まる

音読を学習の準備運動にすることで、学習意欲が高まり、勉強への取り組みがスムーズに行えるのも嬉しいメリットの1つです。

音読によって脳の前頭前野が活性化され、記憶力が高まることは解説しましたが、それ以外にも前頭前野は意欲や興味をコントロールする役割を担っています。そのため勉強する意欲がわかないときでも、音読を出発点にすることでだんだんと意欲が高まり、やる気が出るメリットが期待できますよ。

コミュニケーション能力が高まる

音読により培った語彙力や文章の組み立て方等の知識は子どもに自信を与え、豊かなコミュニケーション能力に繋げることができます。他にも、自分を含めた聞き手に対して適切な声量や間の取り方も、コミュニケーションを図るのに大切な技術です。これらは全て、読み手と聞き手の両方を感じられる音読だからできることであり、黙読では読み手の気持ちに寄り添うことは難しいでしょう。音読をすることでコミュニケーションに必要な技術を自然と身につけることができますよ。

 落ち着きが生まれる

「幸せホルモン」と呼ばれているセロトニンという脳内物質のことはご存知でしょうか。セロトニンとは神経伝達物質のことで、興奮状態を抑え、リラックスした状態を作ってくれるメリットがあります。そしてそのセロトニンは、音読をして前頭前野を刺激することで多く分泌されると言われています。音読によって気持ちを落ち着かせることができるのは、子どもだけでなく大人にとっても嬉しいメリットですね。

自制心が育つ

本記事中で何度も紹介している前頭前野の働きですが、感情のコントロールをつかさどっている部位でもあります。そのため、音読によって前頭前野に刺激を与えることで自制心を鍛えることも可能です。自制心を鍛えることで、欲望や衝動的な感情に流されることなく、やるべきことや目標に向かって前向きに取り組めるようになりますよ。

効果的な音読のやり方

効果的な音読のやり方

子どもにとって素晴らしいメリットがたくさん詰まっている音読ですが、効果をより高めるために抑えておきたい、やり方のポイントがあります。ここからは、大きな効果が期待できる音読の方法4つをご紹介します。ぜひ毎日の音読に取り入れてみてください。

朝に行う

睡眠による休息から、朝は日中に比べて脳がすっきりしている状態のため、学習や考え事に最適な時間とされています。ぜひ音読も、脳が活動的である朝のタイミングを狙って行いましょう。幼稚園や学校に行く前に時間を作っておくことで、ルーティン化しやすいことも魅力の1つです。朝の静かな環境が集中力をアップさせてくれますよ。

大きな声で読む

大きな声ではっきりと文章を読むことで、子ども自身が読み間違いに気付きやすくなり、文章をより正確に読み進めることができます。また、小学生になるとクラス全員の前で発表するなど、大きな声で自分を表現しなければいけない機会が増えるため、その練習としても有効です。

怒鳴り声のような喉を傷めてしまう声を出してしまう場合は「ゾウさんみたいな大きな声だから、クマさんくらいの声にしてみてね。」など、子どもに伝わりやすい言い方でアドバイスしてみてくださいね。

まずは短時間で終わるものから

音読は日々の継続が大切です。子どもが苦痛にならないよう、1回の音読は短時間で読めるものにしましょう。特に幼児期の子どもは読解力も集中力もまだ発達途中です。時間をかけて長い文章を読ませるのではなく、1分で読めるくらいの音読を習慣化させることをおすすめします。子どもが音読に慣れてきたら、少しずつ読む量を増やしてみてくださいね。

慣れたら音読のスピードを上げる

読むことに慣れたら、速音読に挑戦してみましょう。速音読とは、スピードを上げて文章を読む音読方法です。速く読むことで脳はより高度な情報処理が必要になり、通常のスピードで読むよりも活発化されます。他にも、集中力や動体視力が鍛えられるなど、様々な効果が期待できるため、おすすめの音読方法です。ただし、スピードを重視して正確に読み進められなかったり、理解ができていなかったりするのでは意味がありません。まずはしっかりと読む力をつけてからスピードを上げましょう。

子どもの音読に対する親の接し方

子どもの音読に対する親の接し方

子どもが音読をする際に重要なのは、やり方だけではありません。聞き手となる親の接し方は、良くも悪くも子どもにとても大きな影響を与えます。下記音読のチェックポイントをしっかり把握した上で、子どもが音読によってより良い効果を感じられる親の関わり方を合わせてご紹介します。少しの工夫が驚くほど子どもの成長に繋がるので、ぜひ試してみてくださいね。

音読のチェックポイント

・文字通り読めているか
・文節の区切りは正しいか
・言葉を理解しているか
・読んでいる場所を目で追うことが出来ているか
・文章に強弱をつけて読めているか

手を止めて子どもの音読を聞く

子どもが音読をしているとき、聞きながら家事などの作業をしている、ということはありませんか。「文章を正しく読めているか聞いておけばいい」と思われがちな音読ですが、親が集中して聞いているという姿勢を見せることで子どものやる気は上がり、それと同時に強い緊張感も生まれます。緊張感を持つことで集中力は向上し、上手く読めたときには達成感も感じられます。

子どものモチベーションアップのために、1日のうちのたった1〜5分程度と考え、作業の手を止めて耳を傾けるようにしましょう。

必ず具体的に褒める

音読をしてほしいと思っていても「面倒くさい」「好きじゃないからやりたくない」と嫌がる子も少なくありません。嫌がる理由の一つに音読の効果を本人が実感できていないことがあります。音読が上達すると長い文章もスムーズに読み進める力がついてきます。

音読は回数を重ねるほど上達していくことを伝えながら、子どもが音読をしたら、ポジティブな感想を具体的に伝えましょう。具体的と言っても難しく考える必要はありません。できるようになったことや、上達したことを褒めると良いですよ。

褒め方の例

「昨日よりていねいに読めていたね!」
「大きな声ではっきり読めたね!」
「すらすら読めるようになってきたね!」
「ちょうどいい速さで読むことが出来ているね!」
「新しい文字を発見したね!」
「強弱のつけ方が上手だね!」
「前より長い文章を読めるようになったね!」

仮に上手く読めなくても、失敗を指摘することは絶対に避けましょう。前述したように、音読は読み間違いや苦手なところを子ども自身が気付きやすくなっています。そのため、子どもが自分で気付けるまで見守ることが大切です。間違いに気付き改善されていたら、たくさん褒めてあげて、子どものモチベーションを高めていきましょう!

音読内容に対して反応する

読み方を褒めるだけでなく、音読の内容に対してアクションを起こすことで、子どもの文章理解を把握できるのでおすすめです。「このお話に出てきた動物かわいかったね。」という振り返りコメントや、「このときおじいさんはどんな気持ちだったのかな?」という質問をすることで、子どもがどれだけ物語を理解できているのかがわかり、加えて読解力を養うきっかけにもなります。また登場人物の気持ちを理解することで、声の大小や速さに変化を付けてみるなど、読み方の技術も育めますよ。

毎日読ませる工夫をする

何度もお伝えしているように、音読は毎日の継続が力となります。子ども自身が音読を習慣化できるように、読むことが楽しいと思える工夫をしましょう。子どもが好きなお話を選んだり、落ち着いて音読ができる静かな環境を作ったりするのがおすすめです。また、決まった時間に取り組むなどルーティン化して、音読することに抵抗をなくすのも良いでしょう。音読をした日にはカレンダーにごほうびシールを貼るなど、できたことを可視化するのも子どもに「続けたい」と思わせるのに有効ですよ。

「音読」を取り入れるなら、お手本を読み上げるステップから

「音読」を取り入れる上で、そのまま音読を始めてももちろん構いませんが、

・どんなイントネーションで
・どんなスピードで
・どんな気持ちで

というお手本があることで、子どもは「音読」を始めることへの抵抗が薄れていくでしょう。とはいえ、様々な本に合わせて上記のポイントを考えてお手本を見せるのは、家事、育児、仕事などをしながらだとなかなか難しいかもしれません。

それならば、「天神」幼児タブレット版がお役に立てるかもしれません。

「天神」幼児タブレット版には「音読」のお手本対策だけでなく、読み聞かせも含めたコンテンツが100問も収録されています。プロのナレーターによる音読をお手本として、子どもの、自身の音読を進めたい方におすすめです。

もし「気になる」と思われましたら、お気軽に資料をご請求ください。早く始められるほどコスパよくご利用いただけます。

「天神」における「お話」の特徴

収録数 100問

なんと収録数は100問!たくさんのお話に触れられるので、慣れることができます。また、小学校受験によく出題される「昔話」一覧の作品を、複数の問題形式でも扱っています。昔話に沿った問題のみを学習する事も可能です。

「読み聞かせ」コンテンツも充実

「天神」には「読み聞かせ」のコンテンツを40作品以上収録!プロのナレーターが、やさしく読み聞かせ。読み上げと文字ハイライト表示で語彙が増えます。また、文字と音を繋げて覚えることで、文字や語彙の獲得に繋げられます。

プロのナレーターのお手本から音読をはじめたい!という方、ぜひ、「天神」のご利用をご検討ください。

現在、「天神」では無料体験を実施しています。
受験準備が本格化する前に、基礎をバランスよく身に付けたい。
入試本番に向けて、漏れなくしっかり準備を進めたい。
と考える親御さまは、下記バナーから、ぜひ無料の資料請求と体験申込をしてみてください。

Share
目次