幼児期から始める「朝学習」のススメ：メリットと継続するためのコツを紹介します。
近年、朝活や朝学習という言葉を耳にする機会が増えている方も多いのではないでしょうか。大人が早起きをして朝に趣味や仕事といった活動をするだけでなく、文部科学省の公立小学校・中学校における短時間学習の実施状況調査によると、小学校でも授業の前に短時間の朝学習を取り入れるなどのケースが少しずつ増えており、課題としても挙げられています。
| 公立小学校・中学校における短時間学習の目的 | 小学校 | 中学校 |
| 繰り返し学習による基礎的な知識・技能 | 9割 | 5割 |
| 朝学習を通じた児童の一日の生活リズム | 6割 | 8割 |
でも、「朝学習がいいとは聞くけど、何をすればいいのかわからない」
という保護者の方もいると思います。この記事では朝学習のメリットや取り組むコツについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
朝学習とは
朝学習とは、主に朝起きてから学校へ行くまでの時間の中に学習時間を設けることを指します。では、なぜ朝学習がよいとされているのでしょう。また、どのようなことに気を付けるとよいのでしょうか。
ゴールデンタイムは起床後3時間
朝学習をするのに最も効果的な時間帯は、起床後の最初の3時間と言われています。この時間帯は「脳のゴールデンタイム」とも呼ばれていて、学習に対する受容性が高まっています。
朝の新鮮な気持ちと活力を利用するためには、睡眠も重要です。十分な睡眠で脳をしっかり休ませ、起床後すぐに外の陽の光を浴びることでゴールデンタイムを最大限に活用できます。
朝学習は何歳からするべき？
朝学習は、小学校に入る前からでも始めることができます。子どもの興味や発達によって取り組み方も変わってくるため「何歳からすべきである」と断言することはできませんが、幼児期は脳の発達が著しく、学びを吸収する能力が高い時期でもあります。
そのため、入学前の幼児期から朝学習を始めることで、効果的に机に向かう習慣が身につくとされているのです。
幼児期の朝学習時間の目安
幼児期から朝学習を取り入れるにあたり、一日どれくらいの時間取り組むとよいのでしょうか。子どもが楽しく、負担なく机に向かうことができる時間について紹介します。
1日15分程度
幼児期の子どもにとって、長時間の学習は負担になることがあります。長時間の学習になると適度な休憩やモチベーションを保つ工夫もよりいっそう必要になるため、朝の忙しい時間に親子の負担となる時間設定はおすすめできません。
朝学習の時間は短くても効果的です。1日15分程度の短い時間でも、集中力を養い、学習意欲を高めることができます。
15分以内でもOK
子どもの集中できる時間は「年齢＋１分」といわれており、最初から15分間机に向かうことは難しいです。まずは数分で終了するような課題や遊びを用意して、「できた！」と達成感を得られるような時間設定にすることをおすすめします。
朝、決まった時間に机に向かう習慣ができてから少しずつ時間を伸ばしていくとよいでしょう。
幼児期から朝学習を取り入れるメリット
実際に勉強を始めるのは小学校に入ってからですが、朝学習は幼児期のうちから取り入れるのがよいと言われています。入学前の幼児期から朝学習を取り入れるメリットとはなんでしょうか？
生活習慣が整う
朝学習を続けることで、子どもは朝のルーティンを身につけやすくなります。朝早く起きて学習に取り組むことで、朝の時間の使い方が上手になります。朝ごはんや身支度も余裕を持って行えるようになり、良いサイクルが生まれるでしょう。
また、入学前に早起きの習慣を身に付けることで、新しい環境に対する不安がひとつ減ることも大きなメリットです。規則正しい生活リズムは、身体や心の成長に影響するだけでなく、学力向上にもプラスの影響を与えることが知られています。
集中する環境を作りやすい
朝は一日の中でも比較的静かで落ち着いた時間帯です。外部からの刺激が少なく、子どもにとって集中しやすい環境にあります。また、朝は決まったことを次々実行していく必要があるため、短時間で集中と切り替えを繰り返す経験が積めるというメリットもあります。
集中しにくい環境で長時間机に向かうよりも、短時間に集中して学習することで効率のよい学習効果を得られるため、やはり朝学習には大きなメリットがあるといえます。
学習習慣が身につく
朝学習をおすすめする理由のひとつとして、朝は予定が入ることが少ないため、ルーティンが崩れにくく学習時間を確保しやすいという点があげられます。
例えば幼稚園から帰宅後すぐや、保育園から帰って晩御飯の前などに学習の時間を設定すると、習い事や買い物、お友だちとの約束などで予定していた時間に毎日取り組めない可能性が出てきます。
朝起きてから出かけるまでの時間は、新しい習慣を組み込むのに適した時間帯だといえるでしょう。
朝学習を取り入れるデメリット
ここまで朝学習の良さについて紹介してきました。では、朝学習のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
時間の余裕を作る必要がある
朝学習を取り入れるためには、家族全体で朝のスケジュールに余裕を持たせる必要があります。早起きや朝食の準備など、朝の時間配分を考慮しながら学習時間を確保しましょう。
早起きが苦手な保護者の方にとっては、それだけでもデメリットを感じるかもしれません。その場合、タブレット教材などお子様が自分からすすんで取り組めるような朝学習の内容にすることで、お子様が学習している間に朝ごはんの用意や自分の身支度に時間を充てることができるでしょう。
朝学習を習慣化するコツ
ここからは、朝学習を習慣化するコツについて紹介していきます。上記のメリットに魅力を感じて朝学習を取り入れる場合は、ぜひ以下のコツを参考にしてみてください。
朝のスケジュールに習慣を組み込む
朝学習を習慣化するためには、朝のスケジュールに学習時間を組み込んでルーティン化することが大切です。
これまでのルーティンのどこに朝学習を組み込むかの設定と、家族全体で朝の準備を効率化し、余裕を持たせることも重要です。毎日決まった流れを決めたら、視覚的にわかりやすいようなスケジュールを用意するとより効果的でしょう。たとえばホワイトボードに「朝起きる」「はみがき」「朝学習」「朝ごはん」など書いておくことで、次に何をすべきか子どもが自分で確認して行動しやすくなります。
集中しやすい環境を整えてあげる
学習に集中するためには、静かで明るい環境を整えることが必要です。学習スペースを明るく、リラックスできる場所にします。リビング学習であればテレビを消すなど、外部からの騒音や気が散る要因を最小限に抑えましょう。また、取り組みたいと思えるツールや教材を準備することで、子どもが自然と集中して取り組みやすくなります。
朝学習は家族で行う
朝学習を習慣化するには、家族全体で協力し合うことが大切です。親や兄弟姉妹が同じ時間に一緒に机に向かっていることで、子どものモチベーションを上げることができます。仕事や読書、資格の勉強などに取り組むと決めることで、相乗効果によって家族全体の士気も高まるでしょう。また、家族で学習の進捗や成果を共有し合うことで、子どもの学習意欲の継続にもつながります。
少しずつ慣れさせて取り入れる
朝学習を始める際に、子どものペースに合わせて少しずつ慣れさせていくことも習慣化するコツのひとつです。
最初は短い時間から始め、徐々に時間を延ばしていったり、課題の内容を簡単にできるものからはじめたりすることで、子どもがストレスなく学習に取り組めるようになります。
無理なく続けられるよう、反応や様子を見ながら調整していくとよいでしょう。
たくさん褒める
朝学習を続けるには、日々の取り組みを積極的に褒めてあげることが大切です。
「自分で考えて問題が解けたね」「最後まで集中できていたね」など具体的な言葉で褒めると、子どもが自分のできたことを理解しやすく、達成感を感じやすいとされています。そのほか、ハイタッチやハグなど、ポジティブな関わりを持つことでも、学習のモチベーションを高めることができます。
幼児期は朝学習に何を取り入れるのが効果的か
上記のコツを活用しながら朝学習を始めるにあたり、どのような内容にすべきか悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは幼児期の朝学習におすすめの内容を紹介していきます。
好きなこと・得意なことを学習に取り入れる
幼児期の朝学習の主な目的は、学習の土台作りです。そのため、学力アップのための内容よりも子どもが興味を持てる内容を学習に取り入れることが大切です。
最初は塗り絵やシール貼りなどでもよいでしょう。楽しく取り組むことで学習へのモチベーションが高まり、習慣化にもつながります。また、子どもが得意な分野にも積極的に取り組むことで、自信を持って学習に取り組むことができます。
短時間で終われるものを取り入れる
この記事で紹介してきたように、時間はなるべく短時間にすることが大切です。子どもの年齢や性格を考慮して内容と時間を決めましょう。楽しく始めて楽しく終わることで、「まだやりたい！」「明日もやる！」というポジティブな感情を積み重ねていくことができます。
まとめ
この記事では、朝学習のメリットや始めるコツについて紹介してきました。朝学習を始めることは、子どもの成長にとって素晴らしいチャンスです。ここで紹介した朝学習のメリットや取り組むコツをぜひ実践してみてください。
子どもの成長をサポートしながら、朝学習を楽しいものにしていきましょう。家族全員が協力し合い、子どもの可能性を信じることが、朝学習を続ける秘訣です。
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