【子どもに分かりやすく】小学校受験の「水の量・濃度」問題を教える時のポイント
「水の量・濃度」の問題は小学校受験の問題の中でもお子様がつまずきやすい問題の一つです。この問題は物を比較するときや、変化するときの観察力が必要です。一方で「水の量・濃度」の問題は、日常生活において実体験しやすいという取り組みやすさもありますので、実際にご家庭でコップを使って楽しく遊びながら学ぶことが出来るでしょう。
今回は「水の量・濃度」の問題について、問題例と解説を踏まえながら紹介していきます。
「水の量・濃度」問題とは?
小学校受験で頻出の単元の一つに、「水の量・濃度」があります。今回は、「水の量」「濃度」それぞれについて、問題例と解き方、そしてお子様に教える際のポイントなどを解説していきます。
まずは、「水の量」の問題例から見ていきましょう。
「水の量」の問題の問題例と解き方
「水の量」として出題される問題には、以下の二種類の問題があります。
例1:同じ大きさのコップに、違う量の水を入れて、どれが一番多い、または少ないかを問う問題
例2:同じ量の水を入れたコップに、違う大きさのものを入れたときの水位の違いを問う問題
では、まず例1から見てみましょう。
例1:同じ大きさのコップに、違う量の水を入れて、どれが一番多い、または少ないかを問う問題
「それぞれ大きさや形の違うコップがあります。コップに入った水を同じ大きさのコップに移したところ、次のようになりました。一番多く水が入っていたコップに〇をつけましょう。」
元は違う大きさのコップですが、同じ大きさのコップに水を移すことで、水位が一番高い、真ん中のコップに一番多く水が入っていたことがわかりますね。
次に、例2を見てみましょう。
例2:同じ量の水を入れたコップに、違う大きさのものを入れたときの水位の違いを問う問題
以下は、実際に、「天神」幼児タブレット版に使用されている問題です。
「コップには、水が同じだけ入っています。絵のように粘土をいくつか入れました。水の高さが高くなる方を選び、〇をつけましょう。」
左のコップには、二つの粘土を入れるので、水と粘土の体積の合計が大きくなる左のコップの方が、水の高さが高くなります。
似た問題として、はじめからコップの中に粘土を入れておき、粘土を入れた状態のコップの水位を同じにして、コップから粘土を取り出すと水位がどうなるのかを問うという問題もあります。この場合は、取り出した粘土の量が少ない方が、出ていく体積が小さくなるので、取り出した後の水位が高くなります。
ここまで、「水の量」の問題例と解き方について、見てきました。
次に、「濃度」の問題についても、見ていきましょう。
「濃度」の問題の問題例と解き方
「濃度」の問題には、以下の三種類の問題があります。
例1:水の量は同じだが、入れるものの量が違う問題
例2:入れるものの量は同じだが、水の量が違う問題
例3:水の量も、入れるものの量も違う問題
さっそく、例1から見ていきます。
例1:水の量は同じだが、入れるものの量が違う問題
以下も、実際に、「天神」幼児タブレット版に使用されている問題です。
「コップには水が同じだけ入っています。絵のように、砂糖をいくつか入れました。一番甘くなるものを選び、〇をつけましょう。」
水の量が同じ場合は、入れる砂糖の量が多い方が甘くなるので、一番右のコップが正解です。
次は例2です。
例2:入れるものの量は同じだが、水の量が違う問題
「たくさん水の入ったコップと少ないコップがあります。絵のように、砂糖を一つ入れました。一番甘くなるものを選び、〇をつけましょう。」
入れる砂糖の量が同じ場合は、水の量が少ない方が甘くなるので、真ん中のコップが正解です。
最後に、例3を見てみましょう。
例3:水の量も、入れるものの量も違う問題
「たくさん水の入ったコップと少ないコップがあります。絵のように、砂糖をいくつか入れました。一番甘くなるものを選び、〇をつけましょう。」
水の量も、入れるものの量も違う場合が、一番難しい問題です。このような問題は、入れるもの一つ分の水の量から考えるようにしましょう。
砂糖一つ分の水の量を図で表すと、上の図のようになります。同じ砂糖一つ分なら、水の量が少ない方が甘くなるので、一番甘くなるのは、一番左のコップだということがわかります。
ここまで、「水の量・濃度」の問題例と解き方について、見てきました。
ご覧いただいたように、「水の量・濃度」の問題は、かなり難易度が高い問題です。子どもが理解するのも、親が教えるのも、どちらも難しく感じられるかもしれません。
では、ここからは、「水の量・濃度」の問題をお子様に教える際のポイントについて、説明していきます。
「水の量・濃度」をお子様に教える時のポイント
「水の量・濃度」の問題をお子様に教える時のポイントは、以下の三つです。
- 実際に体験する
- 簡単な問題から取り組む
- 濃度を「見える化」する
一つずつ詳しく見ていきましょう。
実際に体験する
「水の量」「濃度」の問題は、実際にどうなるのかを頭で想像しながら、解く必要があります。ただ、実際に体験したことがないものを想像するのは、大人でも難しいことです。ですので、問題に取り組む前に、お子様と一緒に体験してみるのをおすすめします。実際にご家庭でできるものを順にご紹介します。
お風呂の時間を利用する
「水の量」に関する体験をするには、お風呂の時間を利用するのがおすすめです。お湯をはった湯舟に、お子様が入ったときと、保護者様が入ったときで、水位の上がり方が違うことが簡単に体験できると思います。その際、「体の大きい大人が入ったときの方が、水の高さが上がるんだね。」ということを、お子様と一緒に確認できると、実際に問題に取り組む際のヒントになるでしょう。
色水実験をしてみる
「濃度」は目に見えない分、体験するためには一工夫する必要があります。そこでおすすめなのが、色水実験を行う方法です。以下の手順で、行ってみましょう。
①二種類のサイズの違うコップを用意して、それぞれコップの半分まで水を入れる
②それぞれに同じ量の絵の具を垂らす
③色の濃さの違いを見る
①で用意するコップは、水の量の違いが分かればどんなものでも構いませんが、できるだけ二つの大きさに差をつけると結果がわかりやすくなります。濃度の違いが目に見えてわかると、濃度の「濃い」「薄い」が理解しやすくなるでしょう。
砂糖水を使って実験してみる
濃度の違いを目で体感する方法の他に、実際に砂糖水を作って、舌で体感するのも一つの方法です。こちらも先ほどと同じように、二種類の違う量の水が入ったコップを用意し、それぞれに同じ量の砂糖を入れて、どちらが甘いかを確認してみましょう。また、同じ量の水が入ったコップを二つ用意し、それぞれに違う量の砂糖を入れて、どちらが甘くなるかも確認してみましょう。先ほどと同様に、水の量や、砂糖の量は極端に差をつけると、結果が把握しやすくなります。こちらの方法でも、実験を行った後は、濃度の違いが理解しやすくなるでしょう。
簡単な問題から取り組む
実際に体験することができたら、今度は簡単な問題から取り組んでみましょう。行った実験と似たような問題があれば、それを解いてみるのがよいでしょう。体験と問題が頭の中で結びつきやすくなるはずです。この際、もしお子様が困っている様子でしたら、体験したときのことを思い出せるような質問をしてあげてください。例えば、「同じ量の砂糖を入れたとき、水の量が多い方か、少ない方か、どっちが甘かったかな?」のように聞いてあげることで、お子様が状況を想像する助けになります。
濃度を「見える化」する
実際に体験をして、簡単な問題から取り組んでも、なお「濃度」に関しては難しいと感じるお子様もいるかもしれません。そんな時は、濃度を「見える化」してみましょう。以下の図のように、同じ量の水にそれぞれ違う量の砂糖を入れる問題を考えます。
このとき、砂糖1個につき、5個の点を書きこんでみます。
すると、濃度の違いを点の数で表すことができるようになりました。「水の量が同じときは、点の数が一番多い、一番右のコップの水が一番甘いんだね。」というように教えてあげると、目に見えない濃度の違いを理解しやすくなります。
また、このときに「水の中に点がぎっしり詰まって見えるほど、甘いということだね。」のようにお子様と確認していただくと、砂糖の量が同じで水の量が違う場合も、正しくイメージすることができるようになります。
その場合も同様に図に書くと、水の少ない方が点がぎっしり詰まって見えますので、「砂糖の量が同じときは、水の量が一番少ないものが甘いんだね。」と教えてあげてください。
さらに、 事前に体験をしていると、体験したときの記憶と点の数を書いた図が結びつきやすくなるので、理解しやすくなるでしょう。
まとめ
「水の量・濃度」の問題について、問題例と解き方、そしてお子様に教える際のポイントについて、説明しました。小学校受験の問題の中でも難易度が高い問題の一つですが、実際に体験する機会を積極的に作り、問題を想像する力を育んでいくことで、理解が深まっていきます。実験を行う際は、ぜひ親子で楽しみながら取り組んでみてください。
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