メタ認知とは?知らないと損をする子どもの成長を促す接し方と声かけ例

近年、「メタ認知」という能力が注目を集めていますが、どのような力かご存じでしょうか。「メタ認知」は、教育分野や人材育成など、さまざまな場面で重要視されるスキルとして紹介されるようになりました。

この記事では、メタ認知への理解を深めて、子どものメタ認知能力を家庭で伸ばす方法を紹介します。

目次

メタ認知とは

メタ認知は、「自分の思考、感情、記憶、判断などの認知活動を客観的に理解すること」を指します。この能力は、自分を客観視する力というだけでなく、自分をコントロールし、冷静な判断や行動ができる能力も含んでおり、メタ認知能力と呼ばれています。もう少し詳しく説明していきますね。

メタ認知の提唱者とその定義

「メタ認知」は、1976年にアメリカの心理学者ジョン・H・フランベルが提唱した「メタ記憶」の概念が元となって発展しました。

記憶・思考・知覚・情動など、自分自身の認知活動をより「高次の」(=メタ)視点から見つめる能力のことで、メタ認知能力を高めると、自分の感情や行動を冷静に見つめて、コントロールできるようになると言われています。お友達と衝突した時も、メタ認知能力の高い子どもは、自分や相手の気持ちを客観的に分析し、自分の非を認めて謝ることができます。

子どものメタ認知が芽生えるのは3~5歳から

子どものメタ認知が芽生えるのは、3~5歳頃と言われています。

メタ認知の発達には、「実行機能」という脳の機能が大きく関与しています。実行機能は、目標を定めて、自分の行動や思考、感情をコントロールする機能のことで、3〜6歳頃に発達します。また、メタ認知の発達に欠かせないのが、「人の気持ちや立場を考える力」や「自分の思考や気持ちを表現する言語能力」です。こういった能力も、3歳〜5歳頃に大きく成長します。

子どものメタ認知を育てるメリット

子どものメタ認知を育てるメリット

子どものメタ認知を育てるメリットに、以下の6つがあげられます。

  • 自律性が育つ
  • 問題解決力が身につく
  • 感情をコントロールできるようになる
  • 学力向上につながる
  • 失敗から学ぶ考え方ができる
  • 目的と結果を深掘りすることができる

順番に説明していきます。

自律性が育つ

子どものメタ認知能力が育まれると、親や先生が働きかける前から自分で考えて行動できるようになり、早いうちから自律性が育まれます。自分本位にならずに、状況や相手の気持ちを考えながら、冷静に考えて行動することができます。

また、さまざまな場面で、自分から目標を設定して、達成のために自分で考えて行動できるようになります。

行動の例
  • 苦手な鉄棒を習得するために、時間を決めて練習する
  • やりたいゲームがあるから、早めに宿題を終える

など、自分でルールを決め、主体的に物事に取り組むことができます。目標を達成する経験を積み重ねていくことで自信がつき、更にさまざまな物事に対して積極的になれるでしょう。

問題解決力が身につく

メタ認知能力が高い子どもは、何か問題が起こった際に、冷静に対処方法を考えて行動できます。

例えば、忘れ物をした時でも、先生に言いに行く、友だちに借りるなど、ごまかしたり、慌てたりせずに、的確に考えて対応ができます。感情に流されずに状況を冷静かつ的確に捉えて、どうすればよいか適切に考えて行動できるため、あらゆる状況において柔軟に対応できます。

自分で感情をコントロールできるようになる

いくら優秀でも、感情に振り回されてしまう子は思うような成果をなかなか出せません。

その点、メタ認知能力が育まれると、自分の感情を冷静にコントロールできるようになります。イライラしたときも、「何にイライラしているのか」「どうすれば心を落ち着かせられるのか」を客観的に考えて、イライラを鎮めることができるようになります。結果として、感情に振り回されることが減っていきます。

学力向上につながる

ベネッセ教育総合研究所の『小学校高学年の学びに関する調査2019』によると、メタ認知能力が高い子どもは低い子どもより、自分の成績は上位であると回答しています。

では、なぜメタ認知能力の高い子は学力が向上するのでしょうか。

メタ認知能力の高い子は、「面倒だからやらない」と感情や気分に振り回されずに、先を見据えてとるべき行動を考え、主体的に学習に取り組めるからです。また、問題を間違えた時、「また間違えた!」「この分野は苦手だ」と落ち込んで終わるのではなく、なぜ間違えたのかを分析して理解を深めます。

「重要なところを見極めて線を引く」「ご褒美を設定して勉強のやる気を高める」など、効果的に学習するために自ら工夫することも、学力の高さにつながるでしょう。

失敗から学ぶ考え方ができる

メタ認知能力の高い子は失敗から学ぶことが出来ます。

失敗をすると、「恥ずかしい」「情けない」などの感情で冷静さを失ってしまう子が多いなか、メタ認知能力が高い子は、「失敗の原因は何か」「次からはどうすればよいのだろう」と冷静に分析して考えることができます。そして次からは同じ失敗をしないよう気をつけるようになります。失敗を成長に変えられた経験によって、失敗が恐くなくなり、どんどん挑戦していけるようになります。

目的や結果を深堀りすることができる

メタ認知能力の高い子は、目的や結果を深掘りすることができます。

与えられた課題を何となくするのではなく、「何のためにするのか」を深く考えて、課題の本質を捉えて目標を立てます。例えば「なんのために宿題をするのか」という問いに対して、「やらないと親や先生に怒られるから」という表面的な問題に留まらず、「宿題を通して知識の定着をはかるため」「次に学習する単元の理解を深めるのに必要だから」など、掘り下げたり、先を見据えたりして目的を考えることができます。

また、結果に対しても「なぜこうなったのか」を分析して次に生かすことができます。例えばテストの結果がよくなかった時も、落ち込んで終わりにするのではなく、出来なかった原因を見つめて、次に繋がる行動をとることができます。

家で出来る子どものメタ認知トレーニング方法

家で出来る子どものメタ認知トレーニング方法

では、どうしたら子どものメタ認知能力を高めることができるのでしょう。今回は、家でできるメタ認知トレーニング方法を、6つ紹介します。今日からできるものもあるので、ぜひ参考にしてくださいね。

1日を振り返りを促す

毎日その日の出来事を振り返ることで、メタ認知能力を高めることができます。

慣れないうちは子どもが答えやすい聞き方にしてあげましょう。子どもに答えてもらえないからとしつこく聞きすぎると、うっとうしがられるので注意します。もし子どもが答えにくそうだったら、「お母さんは今日、〇〇をして、それから〇〇をして、こんなことがあって嬉しかったんだ」と、親自身が今日あった出来事を子どもに報告しましょう。

子どもも、親の話を聞いているうちに、報告の仕方が分かり、次第に話すようになってくれるかもしれません。夜に嬉しかったことや楽しかったことを話すと、前向きな気持ちで1日を終えられるのでおすすめです。

子どもへの声掛けの例

「今日あった嬉しかったことを教えて」
「今日は給食で何が美味しかった?」

絵本を読み聞かせる

お友達と衝突したときなどに、その場でメタ認知を使えたらいいのですが、実際は子どもは感情的になって冷静に考えられないことの方が多いですよね。絵本を読むことで、登場人物の目線になりながら、状況を客観的に見る練習ができます。

絵本の中には友達とのケンカや、子どもが共感できるような失敗、トラブルが題材となっているものが多いので、ぜひ一緒に読んで「この子は今どんな気持ちかな?」「〇〇ちゃんならどうする?」など、子どもに聞いてみてあげてください。登場人物の気持ちや、状況を客観的に見る経験によって、実際にトラブルに遭遇した時も、自分で冷静に考えて対応できるようになっていきます。

失敗しても叱らず深堀りをさせる

子育てをしていると、子どもが失敗した時に叱りたくなる場面も多いものです。

しかし、子どものメタ認知能力を育むためには、ただ叱るのではなく、なぜ失敗したのかを一緒に分析して考えてあげるとよいでしょう。子どもの取り組み方について一緒に振り返って確認し、失敗につながったところを分析していきます。そして、次は失敗しないためにはどうしたらいいかを一緒に考えていきましょう。

子どもは経験値が低いので、大人から見れば見当違いな分析をするかもしれません。それだとまた失敗すると分かっていても、もし安全上問題がないのであれば、子どもが提案した方法で再度試してから、ふたたび検討するのがいいでしょう。安全や時間の関係で、子どもの提案を試せない場合は、ヒントを与えるなどしてアドバイスしてあげましょう。

子どもへの声掛けの例

「次、同じ失敗を避けるには何をするといいのかな」
「その方法だと、こうなるかもしれないな」
「これを避けられるようにするには、どうすればいいかな」

人の意見を聞く重要性を教える

自分だけの視点から抜け出して、メタ認知能力を高くするには、他人の意見に耳を傾けることも重要です。 

他人の考え方やさまざまな視点に触れることで、自分の考え方の特性や傾向を知り、自己理解を深めることもできます。周囲の意見が正しいか間違っているかをその場で判断して反応するのではなく、「どのような考え方があるのか」に注目して聞けるような姿勢を育てていきましょう。

そのためには、まず保護者の方が、子どもの話を最後まで聞くように心がけてみましょう。話を聞いてもらえた経験から、人の話を聞けるようになります。話の途中で口を挟みたくなったり、否定したりしたくなってもグッとこらえて最後まで聞きましょう。そして「これはどうなっているの?」と質問をして本人の考えを引き出すことを意識してみてください。

子どもから何か質問をされたときは、はぐらかさずにできる限り説明してあげましょう。説明が難しい場合は、「調べてみよう」と提案し、子どもと一緒に調べてみるのもいいでしょう。

努力や成長、その過程を具体的に褒める

子どもを褒めるときは、成果よりも、努力や過程を具体的に褒めるようにしましょう。「えらいね」「すごいね」という言葉だけではなく、具体的に褒めることで、自分のしたことの何がよかったのかを理解できるようになります。

子どもへの声掛けの例

「毎日コツコツ漢字の練習をしていたからテストで良い点がとれたね」
「以前間違えたところをしっかり解き直ししたから、次は正解できたね」

このように、具体的な声掛けを意識することで、子どもは、「毎日やっていたアレが結果に繋がったのか」とメタ認知を働かせる機会を得ることができます。

日頃から親がメタ認知を意識する

メタ認知能力が高い親の子どもは、同様にメタ認知能力が高くなりやすいです。

行動遺伝学の権威である安藤寿康教授が1万組の双生児ペアを対象に行った研究では、神経質・外向性・開拓性・同調性・勤勉性といった性格特性は30~50%が親から遺伝することが明らかになっています。遺伝の部分は変えられませんが、子どもが産まれた後でも、親がメタ認知能力を高めることで、子どもに影響を与えることができます。

子どもは親のあり方を見ています。子どものメタ認知能力を伸ばすためにも、親がメタ認知能力を発揮している姿を見せていきたいですね。まずは親が率先して、物事に対して客観的に冷静に対処するように心がけましょう。

メタ認知を育てるには子どもの興味のある物事から

子どものメタ認知を育てたいと考えたとき、子どもが興味のある分野で思考できる環境を用意するのも一つの方法です。物事に取り組んで、振り返り、これからの行動を考えるといった、メタ認知を育むために必要な思考と行動を繰り返せる習い事や遊びができるといいですね。

メタ認知が大きく発達する小学生の間に、習い事や遊びを通じて発達を促せるようにしましょう。

まとめ

子どものメタ認知能力を高めるには、目標設定やその目標に向けた計画を立てたり、振り返りを行ったりすることが重要です。メタ認知を発揮できれば、日々の成功や失敗に一喜一憂するのではなく、分析して次に生かすプラスの経験にできるでしょう。親は、そうした視点を子どもに意識させつつ、過程を褒めたりアドバイスをしたりしながら、長期的なスタンスで子どもを見守っていきましょう。

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  • 読み聞かせ
  • 努力や成長、その過程を具体的に褒める

などの要素も、天神幼児タブレット版でカバーすることが出来ます。

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努力や成長、その過程を具体的に褒める

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