小学校受験で必須!親が教えるべき「物の数え方(助数詞)」の教え方

「物の数え方(助数詞)」とは、どのようなものでしょうか。「本」「冊」「個」などはイメージしやすいですが、中には大人目線でもあまりなじみのないものもあります。また、数が多すぎて、どんなものから知識をつけていけばいいのか分からないという事態にも陥りやすい分野です。一方で、小学校受験でたびたび問われる内容でもあります。今回は、そんな「物の数え方(助数詞)」について、その具体例や、身につけるためのコツについてお伝えします。

目次

助数詞とは何か

突然ですが、鉛筆を数えるときに、みなさんはどのように数えるでしょうか。「一本、二本」と数えますね。では、猫を数えるときはどうでしょうか。「一匹、二匹」と数えるはずです。

同じ「一つ」という数を表すために、「本」と「匹」という異なる言葉が登場しました。この「本」や「匹」などに代表される、物の数え方を表す言葉を「助数詞」と言います。

助数詞の役割

助数詞には、対象の物を区別したり、特徴を言い表したりする機能があります。「本」は細長いものを、「匹」は動物を表します。これによって、たとえば知らないものであっても、助数詞から特徴を類推することができるなどの利点があります。

物の数え方は何種類あるか

助数詞の数は、一説には数百種類にものぼると言われており、実際に、国語辞典「大辞林」の特別ページには物の数え方が500種類ほど紹介されています。

とはいえ、その全てを覚えていないと物を正しく数えられないというわけではありません。

普段からよく使う「本」「匹」といったものもあれば、たとえばお寿司を数えるときに使う「貫(かん)」など、使い方が限定的なものもあります。神社や神様を数える「座(ざ)」や「柱(はしら)」ともなると、大人にとってもあまりなじみがありませんね。

全てを対策しようとするのは現実的ではありませんし、なじみの薄い助数詞が小学校受験で問われることもないと考えて問題ありません。まずは身近な物の数え方から少しずつ身につけていくようにしましょう。

助数詞と単位の違い

一般に「単位」と言ったときに指す「メートル」や「キログラム」といった言葉を「計量単位」といい、一定の長さや重さなどの量を表します。「助数詞」の仲間として扱われることもありますが、表現できる意味は少し違います。

助数詞と単位の違い

ここでは、助数詞と計量単位の違いについて、具体的に「一本」と「一メートル」を例にして考えてみましょう。

「一本の鉄」と言ったとき

「一本の鉄」と言ったとき、鉄でできたそのものが一つあることと、そのものの形が細長いことを伝えることができますが、具体的な長さや重さについて伝えることはできません。一メートルでも二メートルでも、一本は一本です。

「一メートルの鉄」と言ったとき、

「一メートルの鉄」と言ったとき、鉄でできたそのものの長さは絶対的に定まります。しかし、「細長い物である」という、対象の「物としての性質」を表すことはできません。

「色紙」は「枚」、「犬」は「匹」や「頭」と数えるのが一般的ですが、「縦一メートルの色紙」や「一メートルもある犬」などと表現することもできますね。「メートル」は細長いもの以外にも使えるので、計量単位では、数えているものの種類や特徴は伝えられません。

一見、ややこしいようにも思える「助数詞」と「単位」ですが、表す意味は少し違うということを覚えておくと、理解しやすくなります。

助数詞の読み方の規則性

助数詞の問題に挑む際には、その種類を覚えるだけでなく、読み方のパターンを一緒に覚えておくことも重要です。助数詞そのものを知っていても、読み方を誤ると違和感が出てしまうからです。

助数詞の読み方には、大きく分けて「音読みの助数詞」「訓読みの助数詞」があり、これによって、数字の部分の読み方も変わります。具体的に見ていきましょう。

数詞の音読み

助数詞が音読みの場合、その前につく数字(数詞)も音読みになることが多いです。

「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう(く)、じゅう」が音読みの数え方です。

音読みする助数詞の例

具体的には、「本」「冊」「匹」などが音読みです。

「一(いっ)本」「二(に)冊」「三(さん)匹」と読みますね。

「ひとほん」「ふたさつ」「みひき」とは、あまり言いません。

数詞の訓読み

助数詞が訓読みの場合、その前につく数字(数詞)も訓読みになることが多いです。

「ひ、ふ、み、よ、いつ、む、なな、や、ここ、と」が訓読みの数え方です。

訓読みする助数詞の例

具体的には、「月(つき)」「粒」「皿」などがこれにあたります。

「一(ひと)月」「二(ふた)粒」などと数えますね。

「いちつき」「につぶ」とは、あまり言いません。

ただし、「三(さん)皿」のように読んでも、それほど違和感は無いのではないでしょうか。「三」以上の数のときは、助数詞が訓読みであっても、数字を音読みすることが多いです。

例外

この「音読み・訓読み」の法則には、例外も少なくありません。気をつけるべき読み方をいくつかご紹介します。

音読みの助数詞の四と七

助数詞が音読みのものでも、「四」は「し」ではなく「よん」、「七」は「しち」ではなく「なな」と読むことが多いです。

  • たとえば、「枚」について見てみましょう。

「四枚」「七枚」は一般的に「よんまい」「ななまい」と読みます。

「しまい」「しちまい」とは言いません。

  • 「晩」

「晩(ばん)」は音読みですが、その前に来る数字は訓読みで読みます。

「一(ひと)晩」「二(ふた)晩」と読みます。

  • 「羽」

「羽(わ)」は訓読みですが、その前に来る数字は音読みで読みます。

「一(いち)羽」「二(に)羽」と読みます。

お子様が助数詞を覚える方法

ここまで、助数詞の性質や読み方の法則についてお伝えしました。また、「一本」を「いっぽん」と読んだり「三本」を「さんぼん」と読んだりするように、音のつながりによって促音(小さな「っ」)や濁音になることがあるので、正しい読み方に触れてひとつずつ身につけていく必要があります。

では、実際にお子様が助数詞の使い方を身につけるためには、どのような方法をとるとよいのでしょうか。ここから、助数詞を身につけるコツについて、お伝えします。

日常生活で助数詞を意識して使う

まずは、日常生活の中で助数詞を意識して使うということです。

日常生活で助数詞を意識して使う

多くの助数詞を使い分けなくても、普段の会話で困ることはありません。「鉛筆が一つ」「辞書が一個」と言っても意味は通じます。特に小さいお子様は、まだ大人ほど語彙が豊富なわけではありませんから、何でも「個」という言葉で済ませてしまいがちです。

しかし、受験の面でも、豊かな言語感覚の習得の面でも、より様々な言葉を使いこなせるようになりたいものです。

お子様の言葉遣いに最も大きな影響を与えるのは、保護者の方との会話です。保護者の方が率先して、「お皿を一枚、取ってきてね」「今週は、絵本を三冊も読んだね」などと、会話の中で積極的に助数詞を使い分けるようにしましょう。このようにすると、自然とお子様の語彙の中にも「枚」や「匹」といった言葉が現れるようになっていきます。

自然に取り込まれてきたあとで、「『匹』はどんなものに使うかな?」「犬、猫のような小さな動物を数えるときに使うね」などと定義を教えると、勘違いが減り、より確実な知識に繋げられます。いきなり定義だけを覚えさせようとするよりも、普段の生活の中で吸収する方が、負担も少なく、自然に覚えられますので、おすすめです。

お出かけ先で助数詞を意識して使う

次に、「お出かけ先でも、助数詞を意識して使う」ということです。

先ほどまで紹介したことと似たようなことではありますが、お家の中で見ることができる日常的なものだけでなく、さまざまな物に触れあい、そして触れあったものについての助数詞を、実体験に結び付けて覚えることも有効です。車が並んでいるところで実際に「一台、二台……」などと数えると、お子様にとっても楽しく言葉が身についていきますし、同時に数の感覚についても養うことができます。

一覧表等のポスターを貼る

また、普段の生活の中に取り入れるには、「一覧表等のポスターを貼る」という方法もあります。アルファベットや世界地図のポスターなど、お子様に普段から見慣れていてほしいものをポスターなどの形で目に付くところに貼っておく方法をとることがしばしばありますが、似たようなものが助数詞にも存在します。このようなグッズを普段から目にすることで覚えるという方法も、良い方法といえるでしょう。「いっぽん、にほん、さんぼん、…」等と、一覧を見ながら順番に数詞を唱えることで、読み方の変化に気付いて、正しい読み方を一緒に身につけることにもつながります。

物の数え方一覧

ここまで、助数詞の特徴と、身につけるためのコツをお教えしました。では、ここからは、実際に物の数え方を紹介します。

特に重要なもの

まずは、最初に覚えたい、特に身近なものについてです。

あめ・りんご・たまご

形があり、人が持てるくらいの小さいものは「個(こ)」で数えます。

お札・新聞・葉っぱ

紙、葉っぱなどの薄いものや平たいものは「枚(まい)」で数えます。

バナナ・にんじん・鉛筆・ペン

バナナやにんじんなどの細長いものは「本」と数えます。また、本の数え方は「本」ではなく「冊」になります。間違えやすいので気をつけましょう。

書物(本・雑誌・ノート)

本や雑誌などの書物は「冊」と数えます。紙だからといって「枚」で数えるわけではないことをおさえておきましょう。

犬・猫・バッタ

動物や虫は「匹(ひき)」で数えますが、この後の「頭(とう)」との使い分けに注意しましょう。

犬・熊・象

大型の動物は「頭」と数えます。お子様には、「だっこできないくらいの大きさの動物は、頭と数えるよ」と教えてあげると分かりやすいでしょう。犬は基本的に「匹」と数えるのが一般的ですが、大型犬は「頭」と数えることもあります。

重要なもの

上記の助数詞を覚えられたら、次に覚えておきたい言葉です。この辺りまでの助数詞が適切に使えると、言葉の力がかなり育ってきたと言えるでしょう。

箸は二本で「一膳(ぜん)」と数えます。一本なら「本」を使っても構いませんが、「二本あわせると違う数え方になる」ということも含めて、複雑ですがぜひ覚えてほしい助数詞です。

鳥・うさぎ・ペンギン

鳥の仲間は「羽(わ)」と数えます。ペンギンのように空を飛ばない鳥もいることを知っておくとより正確です、また、うさぎは鳥ではありませんが、例外的に「羽」と数えることがあるということも、ぜひ押さえておきたいポイントです。

人は、「人(にん)」を使って数えます。「ひとり」「ふたり」という特殊な数え方が存在することを忘れないようにしましょう。

靴・靴下

靴や靴下など、両足にはめて使い、二つで一組になるものは「足(そく)」と数えます。

テレビ・車・携帯電話

テレビや車といった機械は「台」と数えます。ただし、小型のものは「個」を使う方が一般的です。携帯電話も、小型化にともなって「つ」や「個」と数える例が増えているようですが、一般的には「台」を使って数えることが多いです。

ヘリコプター・飛行機

飛行機のように空を飛ぶ乗り物は「機」と数えます。

コートや制服のように、上着として着るものや全身を覆うものは「着(ちゃく)」で数えますが、シャツやパンツといった、全身を覆わないものや下着については「枚」を使うことがあります。ズボンについては「本」で数えることもあります。特に「着」について、しっかり身につけておきましょう。

やや重要なもの

これまでのものよりは身近ではなくなりますが、これらが受験で問われることもありますので、触れておきたい数え方です。

玉ねぎ・キャベツ・スイカ

玉ねぎやキャベツといった丸い食べ物は「玉(たま)」と数えることがあります。

イカ・タコ・カニ

生き物として数えるときは、他の動物や魚と同じように「匹」と数えます。食べものとしてこれらを数えるときには、「杯(はい)」と数えることに気をつけましょう。

椅子

椅子は「脚(きゃく)」を使って数えます。

家は「軒(けん)」を使って数えることが多いです。また、「戸(こ)」や「棟(むね・とう)」が使われることもあります。「棟」は、マンションなど、比較的大きな建物の全体を指して使われます。

手袋・イヤリング

手袋のように両手にはめるものは、二つ合わせて「双(そう)」または「組(くみ)」と数えます。靴・靴下の「足」と一緒に覚えるとよいですが、こちらはかなり難易度が高いです。

水・お茶

容器に入った水などの飲み物は「杯(はい)」で数えます。また、水滴や水の雫は「滴(てき)」で数えます。

ラーメン・味噌汁・うどん

ラーメン・味噌汁・うどんなどの、汁のある料理を数える時には「杯(はい)」を使います。 ただし、ラーメンなどの麺料理の麺を「一玉」と数えることもあります。

食パン

食パンは、薄切りなら「枚」と数えますが、薄く切られる前のブロック状の形では「斤(きん)」で数えます。

寿司

お寿司は「貫(かん)」で数えます。

「つ」の使い方

「一つ、二つ」といったときの「つ」は、基本的にどんなものでも数えられる万能な助数詞です。

普段の会話では便利ですが、小学校受験で数え方を問われた時には頼りたくない言葉でもあります。受験への対策という意味では、意識して覚える重要性は低いといえるでしょう。

まとめ

今回は、「物の数え方(助数詞)」についてご紹介しました。受験で問われることを抜きにしても、普段の言葉遣いを豊かにするため、ぜひ身につけておきたい知識です。今回は、数え方に関わる言葉の性質や例、そしてそれらを身につけるためには、普段の会話の中でさまざまな言葉に触れること、そしてさまざまな数え方をするさまざまな物に触れ合うことが重要だということをお伝えしました。

この分野は、身の回りにあふれている物をうまく使って、楽しく言葉を身につけていくことができる分野です。今回お伝えした内容を参考にしていただき、「物の数え方」への知識を身につけていただければ幸いです。

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