【勉強につまずかないための】年長さんの小学校入学準備ガイド

春には机に向かって授業を受けているであろう我が子を想像して、「入学前に勉強をさせておいたほうがいいのかな?」「入学までにやっておくべきことはあるの?」と心配なさっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、年長さんが入学するまでに身につけておきたい勉強内容や生活習慣についてお伝えしていきます。小学校入学までにどのくらいの勉強をさせたらいいのか、最低限どんな生活習慣を身につけておけば安心なのか、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

目次

小学校入学準備のために勉強をさせておくべき?

小学校入学準備のために勉強をさせておくべき?

そもそも小学校入学前に勉強をさせておくべきなのでしょうか?もちろん、事前に勉強をしておくことで1年生になったときに「これ知ってる!」「わかる!」という喜びが生まれ、その後の意欲につながるというメリットもあります。

しかし小学校入学前に身につけておきたいことは「勉強」そのものよりも「学びの土台」であるといえるでしょう。

入学前の勉強はいつからさせるべき?

では入学前の勉強はどの時期から始めるのがよいのでしょうか。早いうちから取り組んでいるご家庭ももちろんありますが、ベストな時期は「学びの土台」ができて「お子様が文字や数字に興味を持ちはじめたら」です。

興味を持ちはじめた時期は学んだことを吸収する力も大きく、「どうして?」など質問もたくさん出てきます。もし年長になっても興味がないようであれば、保護者のほうから少しずつ興味が持てるような声かけをしていくとよいでしょう。

学びの土台とは?

机に向かって勉強をするためには、「学びに向かうための力」が培われている必要があります。「学びに向かうための力」とは、椅子に座っていられること、人の話を聞けること、鉛筆をしっかりと持ち適度な筆圧で書けること、数の概念がわかることなど、勉強するためのさまざまな土台のことです。

その土台に必要なものが、生活習慣や友だちとのかかわり、五感を使った遊びといわれています。今まさに幼稚園や保育園で過ごす子どもたちは「学びの土台」づくりをしている最中といえるでしょう。

入学準備として家庭でサポートできる習慣づけ

入学前の勉強に取り組みやすくするため、そして小学校入学後の新しい生活にいち早く慣れるため、家庭でサポートしておきたい習慣を3つ紹介いたします。

机に向かう習慣 

小学校に入ると45分間の授業が始まります。それまで机に向かう習慣がない子どもにとって、長時間机に向かうことはとても大変です。前述のとおり、いきなり45分間勉強するのは難しく、勉強がいやになってしまう可能性があります。

習慣づけのポイントは以下の3つです。

短時間から徐々にスタートはじめは5分だけなど、短時間にすることで飽きずに毎日継続しやすくなるでしょう。
目的は「机に向かうこと」内容はお子様の好きなキャラクターのぬりえや迷路など、楽しいことからはじめて「筆記具を持って机に向かう」習慣をつけていきましょう。
一緒に机に向かうお子様が机に向かう際、保護者も一緒に机に向かうと落ち着いて取り組みやすくなります。お子様の様子を見守り、たくさんほめてあげてください。

早寝早起き

小学校は登校時間が早く、子どもたちだけで歩いていくことなどから朝早く出発する家庭が多くなります。生活リズムを一変させなければならない場合もあるでしょう。入学すると環境が大きく変わり慣れない生活を送ることになるため、入学前に早起きの習慣をつけておくことで、子どもの負担をひとつ減らすことができます。

たとえば現在7時半起床、小学校では6時半起床を目指す場合、夏から秋にかけて30分早起き、秋以降はもう30分早起きなど段階を踏んで慣れていくとスムーズにいくでしょう。その際、早起きと同時に早寝を目指すことも忘れないでください。

時間の管理

小学校では時間割が決まっていたり、門限までに家に帰ったりと、時間に合わせて行動する機会が増えます。時計を読めることも大切ですが、時間までに支度を終わらせる、もうすぐお風呂の時間だとわかる、などの時間管理も習慣づけておきたいところです。

「6時になったらご飯だよ」「これが終わったら次は何をするのかな?」と普段から時間を伝えたり、段取りを意識できるような声かけをしていくとよいでしょう。

小学校入学までに身につけておきたい勉強レベル

小学校入学までに身につけておきたい勉強レベル

ここからは、小学校入学までにどの程度のことができるとよいのかお伝えしていきます。身につけておきたい内容ではありますが、必ずできなければならないというわけではありません。まずはお子様のやる気や、生活習慣を優先してあげてください。

読書をする習慣

文章を読む力は、すべての勉強の基礎になります。どの教科も日本語の文章から内容を理解する必要があるためです。幼いころ読み聞かせをしていた家庭の子どもは学力が高い傾向にある、という文部科学省の調査結果もあることから、入学前にぜひ身につけておきたい習慣といえるでしょう。

幼児期から小学生にかけては、読書といっても絵本などの読み聞かせが中心です。好きな絵本を、好きな家族の声で読んでもらう体験は、文字や語彙の習得に役立つだけでなく情緒の安定にも影響しますので、入学前の不安定な気持ちを抱えるお子様でも安心して取り組めます。

鉛筆の正しい持ち方

読書と並び、入学前に身につけておきたいのが「鉛筆の正しい持ち方」です。

鉛筆を正しく持つことができるようになると、勉強もスムーズになります。たとえば字を書くときに疲れにくくなり集中力が続きます。「はね」「はらい」といった筆運びがしやすくなるため、きれいな字を書くことへの自信も持てるでしょう。入学後の勉強に対するモチベーションも変わってくるため、可能であれば取り組んでおきたいところです。

鉛筆の正しい持ち方を習得するのにおすすめのポイントをいくつか紹介しますので、これから取り組む場合の参考にしてみてください。

  • 三角鉛筆を使う(鉛筆を持つ3本の指の置き場所がわかりやすい)
  • 短めの鉛筆を使う(ちょうどいい位置を握りやすい)
  • 補助グリップを使う(継続しやすい)
  • 指先を使った遊びを楽しむ(運筆に必要な力加減や細かな動きの獲得)

ひらがなの読みの習得

文字の読み書きについては興味を持つ時期に個人差もあることから、「うちの子は全然読み書きができない」と心配になる保護者も多いでしょう。まずは親が身の回りにあるものの文字を読んで「こんなことが書いてある!」とリアクションしてみせるなど、文字に意識を向けるような働きかけだけでも十分です。ひらがなポスターや、好きなキャラクターのかるたを用意してもいいでしょう。

入学までに読みだけでも習得することができれば安心ですが、できれば書けるようになっておきたいのが「自分の名前」です。小学校では持ち物の決まりが多く、みんなが同じものを持っている環境が生まれます。そこで友だちの持ち物と間違えないようにするためにも、自分の名前を読み書きできる必要があるのです。

鉛筆の持ち方とあわせて、自分の名前を書く経験をしておくとよいでしょう。

数の理解

入学前の子どもが数を理解するためには、「数の順序」「数量」「数字の役割」などいくつかの側面からアプローチしていく必要があります。勉強という形で足し算などを教える前に、生活や遊びのなかでお子様が数を理解できるような働きかけをしてみましょう。

入学前の5、6歳であれば10から多くて20までの数が理解できていれば十分だといわれています。ここでは3つの側面について簡単に紹介いたしますので、お子様の理解度を知るための参考にしてみてください。

数の順序

1から10、20などの数の順番がわかる。暗唱するだけでなく「5の次は6」など抜き出しても理解できているかがポイントです。

数量

対象物と数字を対応させていくつあるかがわかる。数えられる。目の前のクッキーを指差しながら「1,2,3…3枚ある」と言えたり、お花が5本、虫が4匹などの絵を見てそれぞれの数がわかるかがポイントになります。

数字の役割

5という数字が5つのものを表したり、回数を表したりすることを理解する。5などの数字のみが書かれたカードを見せて「これと同じ数の飴をとって」「これと同じ数だけ手を叩いて」などの指示がわかるかどうかがポイントです。

無理なく勉強に親しんでもらうための工夫

無理なく勉強に親しんでもらうための工夫

これまで自由に遊び、ご飯を食べて寝ていただけの生活から、突然「勉強しよう」と言われてもすぐには順応できない子どももいるでしょう。入学前に避けたいのは小学校への嫌悪感です。お子様が「勉強がいやだから、学校に行きたくない」と思ってしまわないよう、無理なく勉強に親しんでもらうための工夫を紹介していきます。

子どもが好きな分野を中心に

現在、お子様が興味のある分野はなにか把握することで、勉強やその土台作りへのきっかけを作りやすくなります。絵本を読むことで文字や言葉に興味があるかもしれませんし、恐竜が好きで毎日図鑑を見ているかもしれません。車を並べて数を数えることが得意なお子様もいるでしょう。

得意な分野や好きなジャンルを中心に勉強をすすめることで、勉強の楽しさを感じやすく「次もまたやりたい」と思える良い循環が生まれやすいといえます。

短時間からスタート

幼児期の集中力は3歳で4分程度、5歳でも6分程度と言われています。まずは短時間でできる内容から取り組みはじめ、入学前に15分程度できていれば十分と言えるでしょう。

子どもにとっても、「もっとやりたい!」というところで終わることで翌日へのモチベーションにもつながります。

やる気を出すための工夫

ひらがなや数が好きではない子どもにとって、毎日勉強に取り組むことはハードルが高く、やる気が出ない場合もあるでしょう。例えば10分勉強を頑張ったら「シールを貼る」「ゲームができる」など、それぞれのモチベーションにつながるご褒美を設定する方法がおすすめです。

ほかにも勉強の前に軽い運動で心と体をリフレッシュさせてから取り組んだり、お子様が1分でも座っていたら「え!?こんなに座るのが上手だったの!?」など大げさなリアクションをしたりといった方法もあります。

1年生への不安を煽る禁句とは?

入学が近づき、焦る気持ちからつい言ってしまうのが「1年生になれないよ!」という言葉です。「ひらがなが書けないと1年生になれないよ」「自分でできないと1年生になれないよ」など、さまざまな場面で言ってしまいがちな言葉ですが、実はNGワードといわれています。小学校は大変なところだと感じ不安になってしまう可能性があるため、できれば避けたいフレーズです。

また「もうすぐ1年生だからがんばって」なども、一見肯定的なフレーズですが何度も繰り返すとプレッシャーを与えてしまいます。入学前になると、環境の変化を予測して不安を感じ、できていたことができなくなったり、甘えてやってもらおうとする姿が見られることもあるでしょう。ありのままのお子様の姿を受け止め、できている部分をたくさんほめてあげてください。

先取り学習のメリット

入学前に勉強は必要なのか?というテーマには、よく「先取り学習」という言葉がでてきます。1年生の勉強内容を先取りして学習する「先取り学習」にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず主なメリットは3つあります。

  • 授業についていきやすい:事前に学習しているので授業内容を理解しやすくなります。
  • 勉強に自信が持てる:「わかる!」「できる!」という体験が増え、自信に結びつきます。
  • より深く学べる:授業が復習になるため、次の疑問が生まれ知識が深まります。

しかし、先取り学習を嫌々行っても効果はありません。すべきかどうかはお子様の性格や勉強に対するモチベーションなどを考慮して決めるとよいでしょう。

1年生用のドリル

先取り学習をする場合には、1年生用のドリルなどを利用するとよいでしょう。1日1ページなど区切りをつけやすく、机に向かう習慣作りにもなります。また、1ページできたらシールを貼るドリルなどもあり、継続する意欲にもつながりやすいです。最後のページまで進めることで「全部できた」「こんなに頑張った」ということが目にみえてわかりやすい部分もポイントといえるでしょう。

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まとめ

この記事では、年長さんの小学校入学準備ガイドとして「入学前にどんな勉強をすべきか?」についてお伝えいたしました。押さえておきたいポイントは、勉強をどこまで進めるかではなく、お子様が小学校に期待を持って過ごせるように働きかけるということです。一人ひとり成長スピードも興味の幅も違うため、お子様に合った方法で一歩ずつできるところから始めてみましょう。

入学までの残りわずかな幼稚園・保育園生活を親子で楽しく、笑顔で過ごせることを願っています。

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