幼児期における自覚がない教育虐待の例と親が気にかけるべきポイント

豊かな知識や経験は、生きる上での強みになります。そのため、お子様にも「多くのことを学んでほしい」「さまざまな経験をしてほしい」「豊かな人生にしてほしい」と願う保護者の方がほとんどなのではないでしょうか。しかし、それを願っての言動であっても、願いの強さが過剰になると虐待になってしまうことがあります。

そこで今回は、幼児期における教育虐待について詳しく説明していきます。具体的な虐待例や気をつけるべきポイントなどもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

教育虐待とは

内閣府 男女共同参画局の『DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待 ―DVは子どもの心も壊すもの―』を参考にすると、“虐待”は下記の通りの言動を指します。

【身体的虐待】
 殴る蹴るなど、子どもの身体に害を与える行為
【心理的虐待】
 言葉による脅しや無視、兄弟姉妹間での差別や動作での威圧など、子どもの心に害を与える行為
【ネグレクト】
 食事や入浴、通院や学びなど子どもが健やかに育つための養育・育児を放棄する行為
【性的虐待】
 子どもを性的対象にしたり、性的活動に関わらせたりする行為

DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待 ―DVは子どもの心も壊すもの― 内閣府 男女共同参画局

上記の虐待は親の勝手な都合やしつけと称して行われることが多いですが、教育虐待は上記の内容を「教育のため」と称して行われる傾向があります。

教育虐待の例

・勉強をしないならおやつをあげない
・お兄ちゃんはできるのに〇〇はできない
・友達と遊ぶことを許さない
・空いた時間は勉強しかさせない
・物にあたり、怒鳴って子どもをしかりつける

など、子どもにとっては理不尽な罰・言動でしかない行動は“教育虐待”にあてはまります。

教育虐待をする親が増加傾向にある

教育虐待をする親が増加傾向にある

以前は難関大学合格が明確なゴール・目標になっていましたが、近年は勉強の早期化が目立つようになりました。また、小学受験対策、幼児英語、プログラミングなど、幼児期・児童期に取り組む学習も増えているので、保護者が焦り、お子様に強要してしまうケースが非常に増えています。

もちろん、勉強の早期化が悪いわけではありません。例えば、英語のリスニング力が伸びるのは乳幼児期なので、適切な時期に適切な学びをお子様に与えるならば、大きな愛情であり理想的な教育法といえるでしょう。

しかし、お子様が嫌がっているのに強要したり、過剰に与えたりするのは“お子様のため”ではなくなってしまうので、その点は注意しなければいけません。

虐待の自覚がない場合が多い

教育に熱心な保護者は、愛情から勉強を強要しているケースがほとんどです。

例えば、「頭がいいと幸せに生きられる」「難関校に入学できれば将来が安定する」など、期待と心配が根底にある愛情なので、その思いが虐待になっているとは気づきにくいのが現状です。

したがって、勉強をするようにお子様に伝えるときは、“本当にお子様のためなのか”自分に問いかけるようにしましょう。もし“お子様の将来のため”といった漠然なものであるならば「お子様も求めているか」や「お子様の笑顔は失われていないか」なども確認しながら声掛けをするようにしましょう。

教育虐待の例

ここまでは教育虐待の基礎知識について説明してきましたが、ここからはより具体的な例をあげながら「教育虐待の例」をご紹介します。

今回は、教育虐待の中でもっとも多いケースとされている6つをピックアップしています。ぜひ、お子様と勉強をする際に意識するようにしてくださいね。

自己肯定感を下げる言葉かけ

教育虐待のひとつに「自己肯定感を下げる声かけ」があります。自己肯定感とは簡単に説明をすると「ありのままの自分を肯定的に受け入れている感覚・言動」ですが、その感覚が損なわれるような声かけは教育虐待になるので注意が必要です。

自己肯定感を下げる声かけの具体例は下記の通りです。

自己肯定感を下げる言葉かけの例

・なんでわからないの?
・どうして100点じゃないの?
・私が子どもの頃はこんなの簡単に解けたよ
・私の子どもとは思えない
・成績が上がらないのは、努力が足りないからじゃない?

思わず口にしてしまいそうな声かけですが、上記の言葉には「お子様への労わり」「努力の評価」などが含まれていません。保護者の理想通りの結果ではなかったとしても、お子様の努力が0ではないので、しっかりとお子様を尊重し接するようにしましょう。

周りや他の子どもと比較する

兄弟姉妹や周りの子ども達と比較する言動も、教育虐待になることがあるので注意が必要です。

子どもは得意不得意・好き嫌いが勉強面に影響しやすいため、同じ年齢・同じ性別・同じ家族であっても同じ学習レベルになるとは限りません。しかし、保護者は兄弟姉妹や周りの子どもを物差しにしてしまうことが多く、その基準に達しない場合 不満や不安を感じてしまうケースが多いようです。

幼児期は、お子様の得意分野を伸ばし、たくさんほめて自信を持たせることが大切です。自信を失い、勉強嫌いになってしまっては本末転倒ですから、お子様の笑顔が増える声掛けを意識するようにしましょう。

子どもの自由な時間が少ない

子どもの自由な時間が少ない

過剰な勉強スケジュールにし、子どもの自由な時間を少なくしてしまう行為も教育虐待にあたるので注意が必要です。

保護者は子どもの精神(心)と身体が健やかに育つように養育しなければいけません。そのため、外を駆け回って身体を丈夫にしたり、人と関わって心を育てたりすることも非常に大切なことです。しかし、勉強や成績にばかりとらわれて、子どもに勉強ばかりさせていると、子どもにとって大切な時間が失われることになるでしょう。

勉強も大切ですが、お子様の自由な時間もしっかりと確保するように保護者は心がける必要があります。

成果が出ないと怒る

お子様の努力が結果にでないときに怒ってしまう行為は、教育虐待にあたるため注意が必要です。

お子様や保護者の努力は、すぐに表れないことも多いもの。そのため、
「このままでも大丈夫なのだろうか」
「今の努力では足りないのではないか」
と不安に感じ、お子様を責めてしまうことがあるでしょう。

しかし、お子様も保護者も努力をしているから悲しさや不安を感じていることをしっかりと理解し、努力の過程を評価する事が大切です。幼児期は“成果よりも過程を大切”にし、学ぶ意欲の土台作りに専念するように心がけましょう。

親が物にあたる

苛立ちをコントロールできず物にあたってしまう行為も、教育虐待にあたるので注意しましょう。

保護者自身が未熟で苛立ちをコントロールできない場合、物にあたって苛立ちを解消してしまうケースがあります。しかし、苛立っている保護者をみたり、大きな音をきいたりしたお子様は、辛く悲しい気持ちになるでしょう。また、大好きなお母さん・お父さんの怒っている姿をみたら、お子様は自分を嫌いになったり両親に怯えたりすることもあるでしょう。

物にあたってしまうほど苛立ってしまうのは、保護者の心にゆとりがない表れでもあります。まずは、保護者の心にゆとりが生まれるように心がけるようにしましょう。

大きな声を出して怒る

お子様の努力を評価できず、できない部分にこだわり叱ってしまうことは、教育虐待にあたるので注意が必要です。特に大きな声で怒ってしまうのはよくない行為なので、行わないようにしましょう。

本来であれば、お子様にとって保護者は“失敗したときに慰め、挑戦するときに励ます存在”でなければいけません。しかし、勉強に取り組むことを励まさずに「もっともっと」と追い立て、結果を「まだまだ」と否定してしまうようでは、理想的な親子関係が崩れてしまうことでしょう。

大きな声で怒ってしまいそうなときは、「怒鳴るべきほど悪いことをお子様がしているのか」心の中で確認するのがおすすめです。小さなお子様が怒鳴られることなど、きっとごくわずかなのではないでしょうか。

教育虐待にならないように注意するポイント

教育虐待は、「お子様のため」と思って行っている事が多いので、なかなか気づくことが難しいものです。そこで次に、教育虐待にならないように注意すべきポイントを5つご紹介します。教育虐待防止策としてはもちろんのこと、日頃の子育てで意識するポイントとしても、ぜひ下記の内容を参考にしてください。

自分の教育方針を過信しない

自分が成功していたり、リサーチを徹底したりした保護者は、自分の教育方針を過度に信じていることがあります。しかし、お子様ひとりひとりに個性があるように、理想的な教育もひとりひとり異なることを忘れてはいけません。

また、保護者が教育分野だけでなく多くの情報を取り入れることも大切です。例えば、「子どもの心を育てる方法」や「子どもの笑顔が増える方法」など勉強以外の知識も増やすことで、教育にばかり偏らない子育てができるようになるでしょう。

子どもと会話する時間を設ける

子どもと会話する時間を設ける

お子様と会話をする時間を設けるように努めることも大切です。

というのも、お子様が気持ち・欲求を口にするには、時間やゆとりが大切になります。そのため、公園のベンチでゆっくりと会話をしたり、おやつをゆっくり食べながら会話を楽しんだり“会話に集中できる時間”を設けることが大切です。

また、会話の最中にお子様の身体に触れたり抱きしめたりするのもおすすめです。保護者に抱きしめてもらえると幸せホルモンのオキシトシンが分泌されるので、お子様のストレス軽減にも効果があるでしょう。

子どもの立場に立って考える

保護者の考えとお子様の考えは大きく異なることがあります。思い描く夢や理想はもちろんのこと、今何を大切にしたいと感じるかも異なることがあるでしょう。

そのため、お子様の立場に立って物事を捉え考える必要があります。例えば幼児期は、多くの“はじめて”に出会う大切な時期です。みたことのない生き物や自然との出会い、ワクワクする出来事との出会いなど、勉強以外にも大切にすべきことがこの世界にはたくさんあるのです。

また、毎日勉強ばかりで心や脳が疲れているのにさらに勉強をさせられたら嫌な気持ちになりますよね。大人の私たちが疲れているときに、持ち帰り残業までさせられたら辛いのといっしょです。

「毎日がんばったら疲れるかな」「楽しいこともしたいかな」など優しい気持ちでお子様の思いに寄り添うようにしましょう。

ありのままの子どもを受け入れる

得意不得意に関してはもちろんのこと、今現在の到達度をポジティブに受け入れて認めてあげるようにしましょう。

例えばお子様にできないことがあったとしても、現在の到達度を受け入れ認めてあげることが大切です。

また、
「できなくても大丈夫」
「いつも応援しているよ」
お子様の不安を軽減し、やる気を引き出す接し方を心がけることも大切です。

ありのままを受け入れてもらえないお子様は、他者に優しくできないこともあるようです。人間はひとりでは生きていけないので、優しさや道徳心を育てることも非常に重要といえるでしょう。

子どもの意思を尊重する

教育虐待の防止策として最も大切なことは、お子様をひとりの人間として尊重することです。

子どもは大人のいうことを比較的聞き入れやすい一面があります。特に幼児期は、保護者のいったことを迷いなく聞き入れてくれることが多いでしょう。しかしだからこそ、保護者は強要ばかりしていないか振り返る必要があります。またお子様が気持ちや思いを口にしたときは、それを叶えてあげることが大切です。

自分の人生とお子様の人生を必要以上に重ねていないかや、自分がお子様の立場になっても嫌な気持ちにならないか、いま一度振り返ってみるのもいいでしょう。

まとめ

今回は教育虐待について説明しました。

子どものことを思うからこそ、ついつい強く言ってしまうことや、自分の気分で子どもにあたってしまうことは人間だれしもあることです。しかし、教育虐待はれっきとした虐待行為です。子どもの心や体に傷を負わせる行為です。子どものことを思うからこそ、口を出す前に、手を上げる前に、一呼吸おいて、自分の行動が本当に子供のための行動なのかを考えて行動しましょう。

頭では理解してるんだけどついつい言い過ぎてしまう、、とお悩みの保護者様

記事内でも例に出してお伝えしましたが、「教育虐待」は知らず知らずのうちに行われている場合もあります。

特に学習において、

(こんなに説明しているのに)どうして分からないんだ!
(こんなに勉強しているのに)なぜ100点を取れないんだ!
(ぼーっとしてないで)もっと集中して勉強しろ!

こんな風に考えているのであれば注意が必要です。しかし、ある程度厳しくしないということを聞かないし、学習にとりかかってくれない、、、とお悩みの保護者様もいらっしゃると思います。

楽しく教えていきたいのに、教えているうちになかなか自分の教えが伝わらなくてついついヒートアップして声を荒げてしまう。子どもに対する教え方もいろいろ試行錯誤してみたけどうまくいかない…ということもあるでしょう。

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