モンテッソーリ教育における保育施設「子どもの家」の特徴と、8つの物理的な環境設定について。
モンテッソーリ教育の保育施設の名前としてよく掲げられている「子どもの家」
近年、藤井聡太棋士を育てた教育法として、日本でもその認知度が増しているモンテッソーリ教育ですが、「子どもの家」ではどんなカリキュラムに沿って子どもを育成しているのでしょうか。
子どもを入園させたいと考えている親御さまに、少しでも「子どもの家」を知っていただくために、モンテッソーリ教育に沿った「子どもの家」の定義をまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
- モンテッソーリ教育における「子どもの家」の特徴
- モンテッソーリ教育の特徴である「8つの物理的な環境設定」
- 「子どもの家」での子どもたちの様子
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モンテッソーリ教育における子どもの家とは
「子どもの家」とはモンテッソーリ教育を導入している保育施設の総称です。
● 子供の家
● 子どもの家
● こどもの家
● チャイルドハウス
● Casa dei Bambini
既述の通り、表現はさまざまです。
世界で最初の「子どもの家」は、モンテッソーリ教育の創始者であるマリア・モンテッソーリが1907年にローマで開設しました。この施設は、主に健常な3〜6歳の子どもたちを対象にした幼児教育の先駆けでした。その評判が広がったことで、モンテッソーリはこの教育手法を書籍にまとめます。それがモンテッソーリ教育が広まるきっかけとなり、その後彼女は著作や講演を通じてモンテッソーリ教育を国際的に普及させ、現在では日本を含む世界中で広く実践される教育法として知られるようになりました。
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「子どもの家」という名前は、通常の教育施設とは異なり、すべてが子どもたちのためにある場所であることを表現しています。「子どもの家」というネーミングには、モンテッソーリの、子どもたちが自由に学び、成長する環境を提供したいという願いが込められています。
ではモンテッソーリが考える「子どもの家」とは具体的にどんな保育施設なのでしょうか。
「子どもの家」の特徴
子どもたちは「子どもの家」という生活空間でどんな教育を受けているのか、そしてどんなことを学べるか、先生はどんなことを教えているのでしょうか?
8つの物理的な環境設定
「子どもの家」では子どもたちが自主的に活動するための環境が作られています。モンテッソーリ教育の特徴である「8つの物理的な環境設定」には以下のものが含まれます。
● 子どもサイズであること
● フィードバックを与えること
● 内発的な活動を考慮すること
● 活動を動機づけること
● 興味を継続させること
● 集中した活動を促すこと
● 本物の性質を備えること
● 魅力的で豊かであること
では、この8つの物理的な環境設定が、「子どもの家」にどう活かされているのか説明します。
子どもサイズであること
モンテッソーリ教育では、子どものサイズに合わせて、適切な道具を提供することが奨励されています。例えば、「子どもの家」では、子どもが持ち上げられる軽い椅子が使われていて、窓の高さは、外を見るのに適した位置に設定されています。
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フィードバックを与えること
一般的な幼稚園、保育園などの教育施設では子どもの間違いを指摘するのは教師の役割です。しかし、「子どもの家」では、子どもの気持ちを尊重し、物理的な環境からフィードバック(間違いの指摘)を受けられる工夫があります。例えば、子どもが自分に合ったサイズの椅子を使用することで、自分で椅子を動かすという体験ができるようにします。そのとき、動かし方によっては椅子が音を立てたり、倒れたりすることがあるでしょう。そうすると、子どもは自分の動作を見直して、静かに、倒さずに椅子を動かす方法を身につけていきます。こういった一連の体験から、椅子の使い方を自然に学ぶことを目的としています。
内発的な活動を考慮すること
モンテッソーリ教育では子どもの「やってみよう!」を重要視しているため、子どもの行動を邪魔しない環境作りを大切にしています。
活動を動機づけること
子どもたちが自ら使いたくなるよう、モンテッソーリの教具は、手を使って操作できるように作られています。注意を引くために、美しいデザインや魅力的な環境が作られているのも特徴の一つです。
興味を継続させること
「子どもの家」では、子どもの興味が長続きするように、見て楽しむだけの教具ではなく、自ら手にとって興味を引く教具を用います。
集中した活動を促すこと
モンテッソーリ教育において、子どもの発達には集中した活動をすることが重要とされています。そのため、子どもの集中を促す環境作りも整えられています。
本物の性質を備えること
モンテッソーリ教育で用いられる教具は、サイズは子ども用ながら全て本物である必要があります。危険に思われるかもしれませんが、野菜や果物を切る活動をする際の包丁はおもちゃではなく、子どもサイズの本物の包丁が用意されています。これは、日常生活で大人が使っているものでなければ子どもは興味を示さないと考えているためです。
魅力的で豊かであること
子どもが興味を示すためにも、子どもたちが活動する空間は出来る限りで魅力的なものを設置します。例えば花や絵画などの装飾や、テーブルクロス、家具なども様々なデザインがあり、興味を持たせることが重要とされています。
「子どもの家」の生活空間
「子どもの家」は、大人の基準ではなく、子どもたちが快適に生活できるように設計されています。子どもたちが使いやすい高さの机やイス、子ども向けのトイレや流し、簡単な料理を行うための台などが整備されており、子どもたちは果物を切ったり、水を注いだり、日常の一部を、彼らのサイズに合った本物の道具を使って行います。さらに、ほうき、ぞうきんなどのお掃除道具や、料理道具、ハサミ、アイロンなどの裁縫道具など、様々な子ども向けの道具も完備されています。
「子どもの家」ではどんなことを学べる?
「おしごと」と呼ばれるモンテッソーリの教育活動は「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」5つの分野に分かれており、それぞれの教育に沿った活動や教具、教材が用意されています。下記関連記事も参照ください。
子どもが主役、大人はサポート
子どもが主役である「子どもの家」ですが、モンテッソーリ教育に精通した先生が教育を施します。しかし先生の仕事はあくまでサポートです。日々のカリキュラムを決めるようなことは行いません。子どもたちの助けが必要な時は手助けしますが、不必要に干渉せず、あくまでも子どもを見守り、環境に沿って子どもをサポートすることが先生のお仕事になります。
こうして説明されると、「先生って楽そうだな。」と思われるかもしれませんが、干渉せずに子どもたちの集中が切れないよう、子どもたちが先生に頼らないように立ち回るのは、特別な技術が必要です。
例えば子どもをサポートするときは正面ではなく必ず隣からサポートします。これは子どもの正面の関心のある物事から集中力を削がないよう、子どもの視界に入らない配慮になります。
自分で活動を選ぶ
「子どもの家」において、教師は子どもの活動を見守るという、どちらかというと消極的なふるまいを行います。それは、子どもたちに自分で考えてもらい、判断し、行動させることで自主性を育む狙いがあります。「子どもの家」の中にはたくさんの活動がありますが、それを選び活動するのは子どもの自由です。先生が活動に誘導することはあっても、その活動をするか決めるのは子ども自身です。
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自由だけど責任もある
自己表現できる環境を用意することは、子どもたちを放任しているような印象を受けるかもしれません。もちろんそういった環境の中でもルールはあります。使った教具は、自分で元の場所に戻す。他の子を邪魔しない、先生に頼らずに他の子が使っている教具を自分が使いたい場合は子供同士で話して交渉するなど、自由の中でもルールを学びます。
まとめ
モンテッソーリ教育を導入している「子どもの家」について紹介しました。普通の保育施設で行う教育と違い、「子どもの主体性を尊重してフォローする」のがモンテッソーリ教育です。子どもの自主性を尊重し、成長を促す教育です。「子どもの家」のイメージを少しでもつかんでいただければ幸いです。
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