不登校の子どもを支える選択肢!不登校特例校の特徴とメリットについて解説します
不登校状態の子どもに対し、どのようなサポートができるのか悩んでいませんか?
この記事では、不登校状態にある子どもをサポートするための「不登校特例校」について、特徴やメリットなどを詳しく解説していきます。不登校特例校を検討している、詳しく知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
不登校特例校とは
不登校特例校とは「学校に行きづらい児童生徒のために、通常の学校より授業時間数が少ないなど、柔軟に学ぶことができる学校(小・中・高等学校等)のこと」とされています。ここでは不登校特例校が作られた背景や概要について説明していきますので、基本的な情報として目を通してみてください。
なぜ不登校特例校が作られたのか
不登校特例校は年々増加している不登校の子どもたちが人と関わる機会を失わず、基礎学力と社会性を獲得できるようにと設立されました。平成17年7月に行われた学校教育法施行規則の改正によって制度化され、全国に広がっています。
※令和5年8月に発行された文部科学省の通知で、従来使用されていた「不登校特例校」という名称から「学びの多様化学校」と代わることが記されました。 混乱を避けるため、当面の間は「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)」と併記されます。
入学する条件はある?
不登校特例校は、誰でも入学できるわけではなく、利用対象となる条件があります。文部科学省は、不登校特例校の利用対象者については年間30日以上の欠席を一つの参考としつつ、各学校又はその管理機関が判断を行う、と説明しています。
このように、不登校特例校に通えるかどうかは各学校や教育委員会等の判断となるため、不登校特例校への入学や編入を考えている場合は、まず現在通っている学校や住んでいる地域の教育委員会に問い合わせてみましょう。
不登校特例校とフリースクールの違い
不登校特例校と合わせて、フリースクールを検討されている方もいるのではないでしょうか?不登校特例校に通わせるメリットを中心に、2つにどのような違いがあるのか説明していきますので、比較する際の参考にしてください。
転校(編入)が可能
不登校特例校とフリースクールの大きな違いは、不登校特例校は転校(編入)が可能という点です。フリースクールは法律上の学校ではないため、現在通っている学校に在籍をしたまま通う形になります。一方、不登校特例校は、文部科学大臣に指定された学校であるため、現在在籍している学校から転校(編入)することができます。
出席扱いとなる
転校(編入)が可能である点に加え、出席の扱いについても違いがあります。不登校特例校に転校し、出席していれば、通常の学校と同じように出席扱いとなり、卒業も認められます。
一方フリースクールについては、出席扱いが認められるとは限りません。令和元年10月に文部科学省から出された「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」には、学校外の施設に通った日数について一定の条件を満たす場合には出席扱いにすることができる、と記されていますが、各学校や教育委員会の判断に委ねられています。
卒業証書を受け取ることができる
不登校特例校を卒業する時には、卒業証書を受け取ることができます。そのため、不登校特例校を卒業後に一般の高校へ進学することも可能です。
(※不登校であっても、小学校、中学校に在籍している場合は卒業証書を受け取ることが可能です。)
一度不登校に陥ってしまったからといって、進学を諦めず将来の選択肢を広げることができます。一方フリースクールは公的な教育施設ではないため、卒業証書を受け取ることができません。
内申書などの進路書類を作成してもらう事ができる
不登校特例校では、進学を希望する場合に内申書などの進路書類を作成してもらうことができます。一般的な学校でも進路指導は行われていますが、不登校特例校ではより手厚い進路指導が行われていることが多いです。児童生徒一人ひとりの状況や希望する進路によって、学習面や生活面での指導を行っています。
不登校特例校の特徴
不登校特例校とフリースクールの違いについてお分かりいただけたと思います。次に、不登校特例校の特徴について具体的に説明していきます。
生徒のペースに沿った授業内容
一般的な学校では、定められた教育課程を元に授業時間や学習計画が決められています。そのため、児童生徒一人ひとりの状況に関わらず、一定のペースで授業が進んでいきます。一方不登校特例校では、子どもの状況に合わせて特別な教育課程を実施することが文部科学省に認められています。具体的には、少人数指導や習熟度別指導などが挙げられ、一人ひとりのペースに寄り添った授業が行われています。
また、各校独自の特徴的なカリキュラムを設け、学習面だけでなく、社会性を養う授業が行われている学校もあります。
不登校に理解のある人材が多い
2つ目の特徴は、不登校に理解のある人材が多いということです。不登校の児童生徒を対象とした学校であるため、不登校に関する知識があり、子どもたちの状況を改善したいという思いをもった人材が多く集まっています。
また、教員以外にも臨床心理士やカウンセラーなどが在籍している学校もあり、様々な立場から子どもたちに寄り添い、手厚いサポートを行っています。
授業時間数が少ない
3つ目は、授業時間数が少ないということです。先ほど述べたように、一般的な学校では定められた教育課程によって各科目の授業時間やスケジュールが決まっています。
一方、不登校特例校では独自の教育課程を定められるため、授業時間数についても柔軟に決めることができます。一般的な学校の授業時間数と比較すると、4分の3程度の学校が多くなっています。
体験学習が多い
4つ目は、体験学習が多いということです。不登校特例校は一般的な学校に比べて授業時間数が少ない分、体験学習を多く取り入れている学校が多いです。具体的には、アウトドア体験やミュージカル鑑賞、ボランティア活動など、様々な体験授業が取り入れられています。
座学で知識を詰め込むことよりも、体験的な授業を通じて社会性や自立性を育み、生徒の意欲や自信に繋げていくことを大切にしています。
全国の不登校特例校一覧(2023年12月現在)
不登校特例校の特徴について説明してきましたが、通える範囲に不登校特例校があるのか、これから増えていくのか、など気になりますよね。以下に全国の不登校特例校をまとめましたので、参考にしてください。
全国の不登校特例校(小学校)
- ろりぽっぷ学園小学校(宮城県仙台市)
- 白石市立白石南小学校(宮城県白石市)
- 東京シューレ江戸川小学校(東京都江戸川区)
- 八王子市立高尾山学園小学部(東京都八王子市)
- 大和郡山市立郡山北小学校 分教室「ASU」(奈良県大和郡山市)
全国の不登校特例校(中学校)
- 星槎もみじ中学校(北海道札幌市)
- 白石市立白石南中学校(宮城県白石市)
- 宮城県富谷市立富谷中学校(宮城県富谷市)
- 大田区立御園中学校(東京都大田区)
- 世田谷区立世田谷中学校(東京都世田谷区)
- 東京シューレ葛飾中学校(東京都葛飾区)
- 八王子市立高尾山学園中学部(東京都八王子市)
- 調布市立第七中学校(東京都調布市)
- 福生市立福生第一中学校(東京都福生市)
- 星槎中学校(神奈川県横浜市)
- 大和市立引地台中学校(神奈川県大和市)
- 岐阜市立草潤中学校(岐阜県岐阜市)
- 西濃学園中学校(岐阜県揖斐郡)
- 星槎名古屋中学校(愛知県名古屋市)
- 京都市立洛風中学校(京都府京都市)
- 京都市立洛友中学校(京都府京都市)
- 大和郡山市立郡山中学校 分教室「ASU」(奈良県大和郡山市)
- 三豊市立高瀬中学校(香川県三豊市)
現段階では不登校特例校がある場所は限られていますが、令和5年3月に文部科学省が発表した「COCOLOプラン」には、下記の様に明言されています。
「早期に全ての都道府県・政令指定都市に、将来的には希望する児童生徒が居住地によらず通えるよう、分教室型も含め全国300校を目指します。(以下略)」
誰一人取り残さない学びの保障に向けた不登校対策COCOLOプラン – 文部科学省 –
不登校特例校の数が今後増えていくことで、不登校に悩む子どもたちの選択肢が増えていくことでしょう。
しかし、フリースクールは全国にありますが毎月数万円の費用がかかります。
また、出席扱いの可否はお子様が在籍する学校によって状況が異なります。
出席認定扱いを受けるための、もう1つの選択肢をご存知でしょうか。
文部科学省の公開した「自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」は次のとおり、令和元年と令和3年を比較すると不登校児の出席扱い数は小学生:27倍、中学生:16倍と急拡大中です。
では「不登校児を出席扱いとするための7つの条件」とは?