特別支援学級ではどんな教材が使われている?特徴や課題について解説
学校教育において、支援を要する児童・生徒を対象とする特別支援学級。学校によって「ふれあい学級」「個別支援学級」など呼称はさまざまですが、障害をもった児童・生徒のために設置されています。
本記事ではそのような特別支援学級で使われている教材について取り上げます。
教材の特徴や課題についても解説しますので、どうぞ最後までお読みください。
特別支援学級で使われる教材の特徴
いろいろな障害を持った児童・生徒が集まる特別支援学級。そこで使われる教材はどんなものでしょうか。
障害特性へ配慮された教材
障害の種類や程度は一人ひとり異なるため、在籍する児童・生徒らに配慮された教材が用意されます。例えば、文字認識が困難な児童・生徒には、音声教材の併用が効果的とされています。
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教員自作品・転用品が多い
特別支援学級専用に作られた教材だけではなく、知育玩具や介護用品などを特別支援学級用の教材として使用しているケースも多数あるようです。また、教員自らが創意工夫して作成した教材を利用するケースも見られます。
教員個人でブログやSNSを作成して情報発信しているケースもあり、特別支援学級の教材については関係者相互に情報共有する環境や文化が醸成されていると言えるでしょう。
また、文部科学省のホームページに「障害のある児童生徒の教材の充実について」という報告書が掲載されているのをはじめ、ボランティア団体・教育研究機関・行政機関などが特別支援学級で使用する教材についてインターネットを通じて情報発信しています。
特別支援学級で使用される教材の例
具体的にどんな教材が使用されているのか、事例をご紹介します。
一口に教材と言っても、教科・障害の種類・使用目的など非常に幅広いため、全体を網羅することはできません。イメージしやすいものをいくつか挙げます。
マルチメディアを活用した教材
障害をもつ児童・生徒には、教科書を読むのが苦手な子もいます。そうした場合によく利用されるのが、ICT教材、マルチメディアを活用した教材です。たとえば「マルチメディアデイジー教科書」は、音声がテキストにシンクロして再生される教材です。発達障害などで、通常のテキスト中心の教科書では理解が難しい児童・生徒向けに作られています。
ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)ツール
発達障害のある児童・生徒に対して、対人関係を円滑にするために行うトレーニングをソーシャル・スキル・トレーニング(SST)といい、特別支援学級ではさまざまなSSTツールが工夫・開発されています。
たとえば、すごろくのマスの中に「あいさつをしましょう」「せのびをしましょう」などの課題が記載されているすごろくは、SSTツールの一例です。すごろく遊びを通して、日常会話・生活習慣などのスキルを学ぶことができます。
日常生活におけるSSTになるだけでなく、すごろくというゲームを通じた「ルールを守る」「勝ち負けを理解する」といった対人関係の訓練にも役立つでしょう。
運動習慣や良い姿勢をサポートするツール
障害のある児童・生徒の中には、運動が苦手だったり椅子の上でじっとしていられないという子もいます。そのため特別支援学級では、軽い運動や良い姿勢づくりをサポートする教材も使われます。バランスディスクやバランスボールなど、体幹トレーニングのために一般の方やスポーツ選手なども使用するスポーツ用品が、特別支援学級でも使われることがあります。平衡感覚を鍛えることによって、多動傾向などが落ち着く効果がみられるためです。
ここで取り上げたものは、たくさんある教材の中のほんの一部です。
興味がある・もっといろいろ見てみたいという方には、特別支援教育教材ポータルサイト(独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所)がおすすめです。
特別支援学級の教材における課題
最後に、特別支援学級の教材の課題について、見ておきましょう。
コンテンツ製作者が限られている
特別支援学級においては、ICT、マルチメディアの活用が教育上有効です。文字を読むことが困難な児童・生徒にとって、音声がシンクロした教材は学習の助けになります。こうしたマルチメディア教材の製作は主に関連するボランティア団体が担っており、供給体制は必ずしも十分ではありません。
先にご紹介した文部科学省の報告書では、「米国では・・(中略)・・それらの教材等を教育現場の実情に沿った簡便な方法で提供できる体制が構築」とされています。
日本の特別支援学級でも、豊富なコンテンツがより容易に入手できるようになるとよいですね。
※私たちの開発する「天神」では、問題・ヒント・解説を音声で読み上げる仕組みを用意しており、これらは特別支援学級に通うお子様に限らず大変好評です。資料をご請求いただければ無料体験できますので、一度お試しください。
体系的な整理がされていない
特別支援学級で使われる教材については、さまざまな形で情報の共有が図られています。
しかしその多くは紹介までにとどまり、取捨選択は各現場の判断に委ねられていると言えるでしょう。
特別支援学級の児童・生徒については個別性の高い対応が求められるので、特定の教材を一律に推奨するようなことはするべきではないかもしれません。
一方で取捨選択が各現場の経験則のみで行われていると、ケースに応じたベストプラクティス(最適解)を導き出すのに時間がかかってしまう可能性があります。
また、教員の異動や変更によって、その支援学級でのノウハウがリセットされてしまう可能性もあります。
今後各研究機関などにより、特別支援学級の教材についての体系化が進むことが望まれます。
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まとめ
特別支援学級で使われている教材には、障害の特性に応じた配慮が施されています。教員の自作品も多くあり、関係者によるインターネットを通じた情報共有も広く行われています。
もしも、特別支援学級の教材を検討されているなら、どんな教材が有効なのか広く情報収集してみてください。
ICT教材の出現と普及によって「あったらいいな」と思われていた学習方法が実現され、特別支援学級にも広まってきました。実際、当社にも「天神」を特別支援学級で利用するために問い合わせをいただくことが増えました。
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