【小学校1年生の算数】足し算の「繰り上がり」が苦手な子どものための問題解説と、家庭でできる練習方法。

小学1年生が取り組む算数の分野の中で、つまずく子どもが多い分野といわれているのが“繰り上がり”のある足し算です。というのも、小学1年生の場合は、数のイメージは10本の指のみであることがほとんどと考えられています。そのため、10を超える足し算になると、イメージがしにくくなり、計算ができなくなってしまうことがあるのです。

そこで今回は、小学校1年生の難関分野“足し算の繰り上がり”が苦手なお子様に役立つ情報をお届けします。問題の解き方や教え方、家庭でできる練習方法など、盛りだくさんの内容でお届けしてまいりますので、ぜひ最後までお読みいただき、日々の勉強のサポートにお役立てください。

目次

繰り上がり(足し算)について

繰り上がり(足し算)について

繰り上がりのある足し算とは、10を超える足し算のことをいいます。そのため、学校の授業では10のまとまりを作るイメージ(さくらんぼ計算)で問題を解く指導が行われているのが特徴です。

例えば「8 + 4」の場合は、4を2 + 2に分けて計算します。そうすることで、「8 + 2 + 2」になり、数のイメージがしやすくなるのです。この「分けて」計算する方法をさくらんぼ計算と言います。「さくらんぼ計算」については下記の記事でも紹介していますのでよければ読み進めてみてください。

大人である私たちも、繰り上がりのある計算をする場合は無意識にこのように考えて計算しているのではないでしょうか。そのため、お子様に解き方を教える際もこの手順を理解しておくと、スムーズに解説できるようになるでしょう。

繰り上がり(足し算)の問題解説

さらに詳しく繰り上がりのある足し算を理解するために、1問例題を出して解説していきます。

問題

野原にうさぎが6羽います。そこに9羽のうさぎが遊びに来ました。うさぎはあわせて何羽になりましたか?

解説

答えは15羽です。また、解説方法の理想的な流れは下記の通りになります。

①答えは10を超えそうか、子どもに尋ねる。(数をイメージさせる)
②大きい数字「9」はあといくつの数があれば10になるか尋ねる。(1が必要と気づかせる)
③小さい数字「6」から1を借りると、6はいくつになるか尋ねる。(5になると気づかせる)
④10 + 5が最終的な式になることを伝える。

無意識に繰り上がりのある足し算ができる大人にとって、この計算は面倒に感じる場合があるでしょう。しかし、この流れを定着させ、何度も練習させることが大切です。

そうすることで、的確に、かつスムーズに計算ができるようになります。

繰り上がり(足し算)はなぜ難しいのか

繰り上がりのある足し算には、さらに1点大切なポイントがあります。

繰り上がりのある足し算は、計算方法を理解していたり、10でまとめる作業ができたりするお子様でも、ワーキングメモリが育っていない場合は、問題を解くことが難しいケースがあります。

ワーキングメモリとは、一時的に記憶を保持する機能です。そのため、ワーキングメモリが十分に育っていれば、“10のまとまりになったこと”や“10を作るために数を引いていくつになったか”などを覚えていられますが、そうでない場合は「10のまとまりに何を足すんだったかな?」「いくつの数字が残っていたんだったかな?」と戸惑ってしまうことがあるのです。

このように、繰り上がりのある足し算をマスターするには、「基本的な知識や計算力」「10のまとまりを作る力」「ワーキングメモリ」が必要になります。つまり、どれかひとつでも未成熟な力があると計算が難しくなってしまうので、つまずく子どもが多くなってしまうのは仕方のないことなのです。

繰り上がり(足し算)問題で身につく力

繰り上がり(足し算)問題で身につく力

小学1年生の算数の中でも、難しい分野と認識されている“繰り上がりのある足し算”ですが、繰り上がりのある足し算をくり返し解くことで、身につけられる力がいくつもあります。特に「集中力」と「記憶力」はよく育つ力と考えられています。ここでは、この2つの力の育みについて詳しく解説していきます。

集中力

繰り上がりのある足し算は、小学1年生にとって頭を使う計算です。そのため、集中して取り組まなければ、解答を導き出すことは難しいでしょう。

小学1年生という時期は、まだまだ集中力が未成熟な時期です。しかし、繰り上がりのある足し算のような比較的難しい問題にくり返し取り組むことで、自然と集中力が育っていきます。

集中力は学年が上がるにつれてさらに必要とされる大切な力なので、低学年のうちから、集中力を育んでおくことがおすすめです。また、勉強で発揮される集中力は、ゲームに集中するといった遊び時間に発揮される集中力(※1)とは異なります。そのため、勉強で集中する時間を低学年の頃から習慣化しておくことが大切です。

※1.ゲームなどは自身の成長過程がわかりやすく、達成感を感じやすい設計になっています。また、継続して取り組みたくなる工夫もなされているため、困難なく集中しつづけることが容易と考えられています。

記憶力

1 + 1や2 + 3といった計算とは異なり、繰り上がりのある足し算は、記憶力が必要になる計算です。具体的には、10のかたまりになっていること、そして、10のかたまりにするために使った数などを覚えておく必要があります。

また、このような一時的な記憶が必要になる計算には、“ワーキングメモリ”も重要な役割を担うので、記憶力と共にワーキングメモリを強化するのにも効果がある取り組みといえるでしょう。

このように、繰り上がりのある足し算をくり返し計算することで、記憶力やワーキングメモリを強化することができます。これらの力は、今後の算数ではもちろん、さまざまな学習でも役立つ力です。ぜひ、繰り上がりのある足し算を通して、今後の学習に役立つ力を育むようにしましょう。

繰り上がり(足し算)問題を解くためのポイント

繰り上がり(足し算)問題を解くためのポイント

難しい学習分野である“繰り上がりのある足し算”を解くためには、4つのポイントを押さえることが大切です。

先ほど『繰り上がり(足し算)の問題解説』の項目でも簡単に説明していますが、ここではより詳しく解説していきます。ぜひここで繰り上がりのある足し算を解くためのポイントをマスターしましょう。

数の合成と分解からスタートしよう

足し算の計算ではもちろん、引き算の計算でも重要なポイントになるのが、数の分解と合成です。

というのも、10を作るための組み合わせや5を作るための組み合わせをイメージできるようにしておくと、数の計算がとても容易になるからです。

その点を踏まえて、どの数字を分解し、どの数字と合成すれば目的の数字(10)にできるか考えられるようにしておくことが“繰り上がりのある足し算”を計算するためのポイントになります。そのため、“2は1と1に分解できる”など、それぞれの数字をどのように分解できるのか学んでおくことが非常に重要です。

10のかたまりを意識しよう

数を分解したり合成したりできるようになったら、次はさまざまな数字で10のかたまりを作れるようにトレーニングしましょう。具体的には下記の組み合わせで、10のかまりを作ることができます。

9と1(1と9)8と2(2と8)7と3(3と7)6と4(4と6)5と5
10になる数字の組み合わせ

上記の組み合わせを覚えられれば、繰り上がりのある足し算を計算する際に、10のかたまりを作りやすくなります。また、大きい数字よりも小さい数字を分解したほうが計算しやすいことも、併せて教えておくといいでしょう。

3つの足し算

数の分解や合成ができるようになったら、次は3つの足し算を練習しましょう。

例えば、6 + 9を10のかたまりを作って計算する場合、5 + 1 + 9という計算に置き換える必要があります。そうなると、3つの数の足し算をしなければいけないので、10のかたまりになる足し算+もうひとつの数の計算をできるようにしておく必要があるのです。

そのため、繰り上がりのある足し算の練習はもちろん、「3 + 2 + 8」や「4 + 3 + 7」などの計算を練習しておくことが大切です。単に繰り上がりのある足し算といっても、答えを導き出すまでにはいくつもの課題があるので、そのひとつひとつをしっかりとマスターしておくようにしましょう。

筆算

1の位の数を合成して10のかたまりを作り、そのかたまりが10の位に繰り上がるというイメージ形成は、大人にとっては非常に容易なものです。しかし、その概念が確立していない子どもの場合は、イメージがわかないことがあるでしょう。

そのようなときは、筆算(ひっ算)をして、繰り上がりのイメージをつかむのがおすすめです。

ひっ算は、繰り上がると1の位と10の位の間に、小さな1を書きますよね?それがあることで、子どもは1の位で10のかたまりを作ると、10の位の1になることがイメージできるようになるのです。

その仕組みが理解できたら、先ほど説明した『3つの足し算』などで、10のかたまりを作るトレーニングを行いましょう。10のかたまりがイメージできるようになってから、計算式を使ってトレーニングすることはお子様の計算力をより確実に育てることができるでしょう。

繰り上がり(足し算)問題を理解させるために家でできること

繰り上がり(足し算)問題を理解させるために家でできること

私達大人は豊富な計算経験があるので、本記事内の情報だけでも計算方法や数のイメージができるでしょう。しかし、子ども達はそうはいかない場合がほとんどです。

そこで、本記事最後のアドバイスとして、「子どもが繰り上がりのある足し算を理解するためにできる保護者のサポート」について説明いたします。家でできる取り組みをピックアップしているので、ぜひ宿題指導の際や、日頃の子育てシーンなどに取り入れるようにしましょう。

図解(おはじき・シールなど)で説明する

言葉や文字、そして数字などでは理解できない場合でも、図や物を活用すれば理解できることがあります。具体的には、イラストやアニメーション、おはじきやシールなどを使って説明するのがおすすめです。

実際に学校では、おはじきなどを活用して指導している場合がほとんどです。しかし、学校(集団指導)よりも自宅(マンツーマン指導)で教えたほうが理解しやすいお子様もいるでしょう。そのような場合は、学校での授業にプラスして、自宅でも繰り上がりの仕組みを教えるのがおすすめです。

もし、仕事などで忙しく自宅で教える時間はないと悩んでいる保護者の方は、タブレット学習がおすすめです。タブレット学習はイラストやアニメーションが豊富なので、お子様ひとりでも理解を深めることができるでしょう。

数の楽しさを教える

繰り上がりのある足し算に限らず、算数を学ぶための基礎土台は、“数に親しむこと”です。また、数の楽しさを学ぶことも重要です。そのため、日頃から数を意識して過ごすように心がけましょう。

例えば、おやつの時間にも「兄弟姉妹でどのようにわけるか」「あといくつ足したら10枚のクッキーになるか」など、数に触れられる機会はたくさんかくされています。

「10枚のクッキーをおやつにしたいんだけど、あと何枚必要かな?」「5個あるうち2つ食べたね。いくつ残ってる?」など、クイズ感覚のやり取りも楽しいのでおすすめです。

小さい頃から数に親しんでいる子どもは、算数の授業でも前向きに学ぶことができるでしょう。ぜひ、ご家庭で算数を前向きに学ぶための土台を築くようにしましょう。

できたら必ず褒める

子どもは褒められることが大好きです。そのため、褒めてもらうためにもっとがんばろうと努力をする場合もあるでしょう。また、しっかり褒められて育った子どもは、自己肯定感や自尊心が高くなるので、挑戦心や忍耐力もしっかりと育つことでしょう。

算数は子どもにとって比較的難しい科目であり、集中力を要する大変な取り組みです。しかし、このような困難な一面も、保護者の応援や、楽しい学習環境があれば、比較的取り組みやすい取り組みになります。

子どもが自ら勉強に取り組んだり、勉強が楽しいと口にしたりしたら保護者の方も嬉しいと感じませんか?そのような理想的な習慣を身につけるためにも、日頃から“褒める習慣”を、保護者もしっかりと習慣化することが大切です。ぜひ、親子で一緒に理想的な学習習慣を身につけるようにしましょう。

「繰り上がり」の問題のコツはわかったけれど、実際に取り組むのは大変そう・・・と感じられた方へ

「足し算の繰り上がり」に限らず、小学校の問題は学校で習うより事前の対策を必ずしておきたいものです。しかし、小学校の学習を先取りして学ぶのは、家事、育児、仕事などをしながらだとなかなか難しいかもしれません。

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