保育園?幼稚園?幼児期の学力を高めたいなら知っておくべき「園の違い」と、「親にしか出来ない子どもへの関わり方」

子どもの多くは、幼児期の大切な時間を保育園もしくは幼稚園で過ごします。

たくさんの時間を過ごすので、子どもにとって充実した環境であってほしいですよね。今回は、保育園と幼稚園を比較して、学力への影響や通園費用など、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。幼児の学力が高まる環境を作るための親しかできない関わり方についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

目次

保育園と幼稚園の違い

保育園と幼稚園は、いずれも小学校入学前の子どものための保育施設ですが、利用できる年齢や預かってもらえる時間など異なる点があります。

また、保育園と幼稚園では管轄が異なるのも大きな違いです。保育園は厚生労働省の管轄で、保育を必要とする子どもに対して保育を行う福祉施設であるのに対して、幼稚園は文部科学省の管轄で、小学校入学前の教育を目的とした施設です。

園の先生が持っている資格も、保育園は保育士、幼稚園は幼稚園教諭とそれぞれ異なります。また、料金に関しても認可保育園や、公立の幼稚園は自治体が料金を設定していますが、認可保育園の場合、保護者の所得に応じて金額が変わることもあります。保育園は生活や遊びの中で学ぶことを大切にした活動が多く、幼稚園は小学校での勉強を想定した内容であることが多い傾向にあります。

保育園幼稚園
対象0歳から小学校入学するまでの乳幼児3歳から小学校入学するまでの幼児
所轄厚生労働省文部科学省
法令児童福祉法学校教育法
資格保育士資格幼稚園教論1種免許
幼稚園教論2種免許
申込先自治体各幼稚園
保育時間7:00 ~ 18:00くらい
標準保育時間:8時間
9:00 ~ 14:00くらい
標準保育時間:4時間
お休み土日祝祭日土日祝祭日 春・夏・冬休み
保育・教育日数規定なし39週以上(年間)
昼食給食お弁当+給食
料金認可保育園:自治体が設定
認可外保育園:園が設定
公立:自治体が設定
私立:園が設定
保育園と幼稚園の違い

保育園と幼稚園の学力レベルの差

活動内容の異なる保育園と幼稚園では、子どもの学力レベルに差はあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

園と学力の関係

一般的に、保育園よりも幼稚園の方が小学校での学習を意識した活動内容になっています。2010年に文部科学省が行った調査では、保育園に通っている子どもに比べて、幼稚園に通っている子どもの方が学力が高いという結果が出ています。

結果だけに注目すると、保育園よりも幼稚園の方に通わせたいと思うかもしれません。しかし近年では、幼稚園でも自然との関わりや自由な遊び方を重視したり、保育園では国語や算数など、机に向かって学習する園も増えています。学力を伸ばしてあげたいのであれば保育園か幼稚園かという部分よりも、園の教育方針に注目するべきです。

放課後の過ごし方の差

子どもの学力は、どの園に通うかということだけでなく、環境や保護者との関わり方にも大きな影響を受けます。

家で本を読む習慣があるかどうか、習い事をしているかなど、園での活動以外の時間をどう過ごしているかによって子どもの学力に差ができます。

例えば、共働きの家庭で18時まで保育園に預けているようなケースでは、平日に習い事をさせるのはなかなか難しいですよね。保育園を利用している保護者は、放課後の過ごし方の違いから「平日は、夕飯を食べたらもう寝る時間だから何もできない」と教育面に不安を抱いていることもあります。

幼稚園児と保育園児の家庭学習の時間

一方で、保育時間が比較的短い幼稚園児は、ママが専業主婦であったり短時間のパート勤務であることが多いため、午後に家庭で過ごす時間は長くなります。ボール遊びなど公園で外遊びをしたり、習い事をしたり、家で文字を書く練習もできます。

このように保育園児と幼稚園児は、どのように放課後を過ごしているかによって学力の差ができると言えるでしょう。家庭学習の関することは下記記事でもまとめていますので参考にしてみてください。

学力の差はしつけの差

家庭での保護者の関わり方やしつけの差が、子どもの学力の差につながっていくというデータもあります。NHK「おかあさんといっしょ」の番組開発にも携わっている内田伸子氏(言語発達・認知発達研究者)は「子どもの貧困と学力格差」の中でこう述べています。

語彙得点が高い子どもは、共有型しつけを受けており、語彙得点が低い子どもは、強制的しつけを受けている。「共有型しつけ」とは、子どもを一人の人格をもった存在として尊重し、子どもとのふれあいや会話を大事にしていて楽しい経験を子どもと共有しようとするしつけ方を指している。こういう関わり方をする親は、家庭の団欒や、親子の会話夫婦の会話も大事にしている。家庭の所得の高低にかかわらず、共有型しつけをしている家庭には蔵書も多く、親も本好きで乳児期から子どもに絵本の読み聞かせをしている。親も本好きな家庭で育った子どもは、リテラシー得点も語彙得点も共に高かった。

子どもの貧困と学力格差 – 内田伸子 –

子どもの学力と深い関係にある「しつけ」は、共有型と強制型の2パターンに分けられています。

共有型・子どもをひとりの人間として尊重する
・子どもとの会話を大事にしている
・楽しさを共有する
強制型・しつけは親の役目だと思っている
・自分の思い通りに育てたいという思いがある
・時には罰を与えることもある

子どもの興味を尊重しながら、自発的な活動を大切にするには具体的にどうしたら良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

自発的な活動を促す関わり方

子どもは日常生活の中でさまざまな物に興味を持って、遊びながら学んでいきます。楽しい経験や夢中になれる環境は、子どもの好奇心や学習への意欲を高めてくれます。保護者は、どのようなものをどれぐらい準備するのか、一人ひとりの発達に合わせて必要なものを準備してあげることが大切です。

文字に興味があってじっくり読むタイプの子どもには「文字が多めの本を2冊与える」、絵が好きでいろいろな本を読みたい子どもには、ほとんど文字がなくても構わないので「絵が多い本を5冊与える」など、子どもの興味に注目して夢中になって楽しめるように工夫しましょう。

砂場遊びが好きな子どもなら、スコップ以外の道具を準備したり、絵を描くのが好きなら絵の具遊びをしてみるなど、子どもが自発的に遊びながら学べる環境作りをしていきましょう。

保護者の役割

保護者は、子どもの発達に応じて柔軟に対応する必要があり、状況によっては保護者がすぐに関わったり、手助けをせず見守ることも大切です。

例えば公園で遊んでいる時、子どもが集中して砂を集めている時は、話しかけずにそっと見守ります。バケツの水が重くて困っていても、すぐに手を貸してしまうのは避けて、そのあとどう行動するのかしばらく待ってみましょう。すぐに声をかけてしまう親は、「手伝ってほしい!」という子ども自らの「意志表現をする機会を奪っている」と認識すべきです。

子どもが自由に夢中になれる環境作りをして、危険な状況でなければ困ったときにどう対処するか考える経験を重ねていけると良いですね。「親子で一緒に楽しむ」という経験も、もちろん大切です。しかし、目の前で起こっている出来事が、子どもにとってどのような意味をもつかを考えていきましょう。

保育園と幼稚園のメリット、デメリット

保育園か幼稚園のどちらを選ぶべきかは、保護者の働き方や通園のしやすさなども含めて検討しましょう。

ここでは保育園と幼稚園のメリットとデメリットなどの特徴をまとめました。園の教育方針によって異なる場合もありますから、一般的なものとして参考にしてくださいね。

保育園に通わせる主なメリット、デメリット

保育園のメリット保育園のデメリット
・0歳児から預けられる
・保育時間が長い
・異年齢の子どもとの関わりがある
・生活面の自立が早い
・給食でさまざまな食材に触れられる
・希望した園に入れない時もある
・保護者同士の交流は少なめ
・行事が少ない
・習い事をさせる時間の確保が難しい
保育園に通わせる主なメリット、デメリット

保育園は役員活動を必要最低限の内容におさえている園もあり、両親が共働きで、仕事と育児を両立させたい場合は保育園の利用がおすすめです。子どもは集団生活を通してたくましく育ち、異年齢の子どもが一緒に過ごすことで「大きくなったらお兄さん、お姉さんみたいになりたい」という気持ちが自然に育まれます。

衣服の着脱や食事なども保育士にサポートしてもらいながら身に付けられ、生活面の自立が早い傾向にあります。

保育園のデメリットは、競争率が高いため、希望した園に入れないことがあるということです。家から遠い園になると送迎に時間がかかって大変な思いをしたり、兄弟姉妹で別々の園になってしまうケースも少なくありません。共働き家庭が通うため、親子で参加する行事も必要最低限に設定されていることや、お迎え時間も家庭によって違うため、保護者同士の交流は少なめです。

幼稚園に通わせる主なメリット、デメリット

幼稚園のメリット幼稚園のデメリット
・園によってさまざまな教育が受けられる
・子どもに合った入園先を選べる
・降園後の時間にゆとりがある
・行事が多いため保護者同士が交流しやすい
・入園金がかかる
・保育時間が短いため両親が共働きだと通いづらい
・預かり保育は別途費用の支払いが必要
・平日の行事もあり、働いている保護者は参加や役員の仕事が大変
幼稚園に通わせる主なメリット、デメリット

幼稚園のメリットは、園によってさまざまですが、リトミックや読書、フラッシュカードや英語など教育内容が充実していることです。小学校入学に向けて「座って静かにする」「先生の話を集中して聞く」など学習の基礎も身に付けていきます。生活発表会や学芸会などの行事が多く、子どもの成長を見られる機会も充実しています。放課後は時間にゆとりがあるため、習い事はさせやすい環境です。

幼稚園のデメリットは、保育時間が短いことです。両親が共働きの場合は、別途費用を支払って預かり保育を申し込んだり、他の育児支援サービスなどを利用しなければ通わせるのが難しいでしょう。行事が多いので保護者同士の交流も多く、行事以外でも頻繁に「ママ友のランチ会」があると、人によってはデメリットに感じるかもしれません。

まとめ

今回は、子どもの学力を高めるために、保育園と幼稚園のどちらが良いかを比較しました。

どちらか一方が良いということではなく、園の教育方針を確認しながら、各家庭やお子様に合った園を探すことが大切ですね。子どもがのびのびと過ごせる環境で、生活力や学びの基礎を身に付けていってほしいものです。今回紹介した子どもの学力を高めるための保護者の関わり方や放課後の過ごし方を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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