子どもの協調性を高めるために家庭で出来ること。協調性を育むゲームや習い事も紹介します。
「元気なのはいいけれど、お友達と一緒に遊べない」
「同じくらいの年齢の子どもがいる場所でも一人で遊んでばかりいる」
「滑り台の順番を守ることができない」
・・・こんな悩みはありませんか?
「もしかして、我が子は協調性がないのでは!?」と心配になる保護者の方もいるのではないでしょうか。協調性は、幼児期に土台を作ることで高めることが可能です。この記事では、そもそも協調性とはどういうものなのか、協調性を高めるために家庭でできることや協調性を高める習い事について解説していきます。
協調性とは
協調性とは、「自分とは異なる考えを持つ人を認めて受け入れ、相手の気持ちを考えながら協力して一緒に活動するスキル」のことです。協調性が高い人は、様々な立場の人や異なった環境の人など自分とは違う考えを持つ人との関わりもうまく、相手の考えや意見に耳を傾けながら自分の意見を伝えられます。
社会に出れば子どもはたくさんの人と関わっていくことになり、様々な環境・考え方を持つ人と協力して一つのことに取り組む場面が多くあります。このようなときに協調性が高いとものごとをスムーズに進められたり、他人の考えを理解しやすかったりします。その結果、困ったときに協力を得やすく、友人・仲間ができやすいというメリットがあり、良い人間関係を築くためには協調性は必須のスキルといえるでしょう。
協調性はどのように育まれるか
では、どのように協調性は育まれるのでしょうか。
協調性は、自分の周りにいる人たちと関わることで育まれます。特に幼児期に育まれ、家族など身近な人や保育園・幼稚園などのお友達、先生と関わることで「一緒に何かをすることは楽しい‼︎」という気持ちが芽生えます。楽しいだけでなく、時には衝突をしたり我慢をしたりすることもあるでしょう。そういった経験の中で、相手の気持ちを想像したり、相手の気持ちに寄り添ったりすることで協調性は育まれます。
周囲に合わせるのが「協調性」ではない
保護者の方の中には、周囲に合わせることが協調性だと考えている方もいるのではないでしょうか。自分の考えを曲げて、我慢して周りに合わせる・周りに流されるのは「協調性」ではありません。協調性とは同じ目的に向かって、他人と考えを共有してお互いに協力したり助け合ったりするスキルのことです。
自分の子どもに協調性がないのではないか、と心配になるシチュエーションとして「他の子どもはみんなで集まって一緒に遊んでいるのに、自分の子どもは別の遊びをしている・・・」ということがありますが、この場合は協調性がないわけではないので心配いりません。一人で遊んだり、もくもくと何かに取り組むことが好きな子どももいるでしょう。もし、みんなの輪の中に入りたいけれど入りにくそうにしている場合には、輪に入れるように声をかけるなどそっとサポートしてあげましょう。
協調性とは非認知能力のひとつ
協調性は自らの経験に基づいて、周囲の状況や相手の視点を考えた上で、適切に行動ができる力です。この協調性は、「仲間を思いやる力」、「仲間と協力する力」、「仲間に手を差し伸べ、支える力」の3つの側面から成り立っています。親や大人が子供の気持ちを共感し、理解することで、子供は相手を思いやり、協調性を発展させることができます。
協調性が最も育まれる幼児期
協調性が最も育まれるのは、幼児期です。協調性は、家族やお友達、保育園や幼稚園の先生など身の回りのたくさんの人たちとの関わりの中で身についていきます。幼児期のうちにたくさんの人とコミュニケーションを取っていろいろな経験を積むことで、協調性を高める土台を作り協調性を育んでいきます。協調性は、年齢が上がるにつれて少しずつ育まれます。
幼児期にどのように協調性が育まれていくのか年齢別に見ていきましょう。
3歳児の協調性
3歳児は、協調性の土台を作り始める時期にいます。協調性が身につくまでにはまだ早い年齢のため、この時期は協調性がなくても心配いりません。
3歳児は、周りの人に対する関心よりも、自分が使いたいものややりたいことへの関心が強い年齢です。自分のやりたいことを満足するまでやりたい!と思う子どもが多く、お友達との衝突も多い時期です。そのため、周りと衝突することがあったとしても、焦ったり心配したりする必要はありません。
4歳児の協調性
4歳児は、協調性が芽生える時期にいます。保育園や幼稚園などの集団生活にも慣れ、少しずつお友達との交流も増えていきます。ただし、まだ協調性が十分に身についている段階ではありません。協調性が不足している子もいるでしょう。
これまでは、おもちゃや食べ物など、自分の好みに関心が向いていたものが少しずつ自分の周りへと広がっていきます。身近な家族や園の先生、好きなテレビ番組やYouTubeのキャラクターへの関心が強まり、言葉や仕草を真似てなりきる行動が増える時期です。また、いくつかの決まりごとやルールを守れるようになり、お友達とチームスポーツやゲームに参加できるようになります。周りとの関わりの中で、喜怒哀楽や悔しいなどたくさんの気持ちを経験し、その経験を積んでいくことで協調性を育んでいきます。
5歳児の協調性
5歳児は、協調性がしっかり身についてくる時期にいます。言葉の語彙力も増えて言葉を上手に使ってコミュニケーションができるようになっていきます。この年齢の子どもにとって、協調性を最も高めてくれるのはお友達です。5歳児になると「お友達」という存在をしっかり認識し、一緒に遊ぶ楽しさを実感したり、協力してひとつの目標を達成する経験をしたりします。
お友達はもちろんのこと、園の先生との関わりを積極的に増やし、集団の中で様々な経験をさせることで子どもの協調性をより高めることに繋がります。
子どもの協調性を高めるために家庭でできること
協調性は、いろいろな人と関わることで育まれ、お友達だけでなく家族との関わりでも高めていくことが可能です。子どもの協調性を高めるために家庭でできる具体的な方法を見ていきましょう。
子どもができるお手伝いを一緒に決める
ごく簡単なもので良いので、毎日継続してできるお手伝いを決めましょう。
お手伝いの内容は、ごくごく簡単なもので構いません。親が一方的に決めるよりは、子どもと一緒に決めるほうがよいでしょう。「テーブルを拭く」「ハンガーから洋服をはずす」「お箸を並べる」「カーテンを開ける」など簡単にできて続けられそうなものにすることがおすすめです。
家庭の中で、自分に役割があることは子どもにとって嬉しいものです。役割をこなすことで自信がつくだけでなく、家族が喜ぶ姿を見て子どもも嬉しくなり、さらにお手伝いすることが楽しみになるでしょう。自分がしたことで家族が喜んでくれたという経験から思いやりの気持ちが育ち、協調性も高まっていきます。
挨拶をする習慣をつける
挨拶は、自分以外の誰かと繋がる1番簡単な方法ですね。
まずは、親が手本を見せて積極的に挨拶をする姿をみせることが大切です。「おはよう」「おやすみなさい」「いただきます」「ごちそうさまでした」「いってきます」「ただいま」などの挨拶を欠かさないようにしましょう。
家族の間の挨拶はもちろん、お友達や先生、近所の人など家族以外の人との挨拶も重要です。目と目を合わせて挨拶をすることで、相手の表情や気持ちなど様子をうかがう練習にもなります。協調性は、相手がどんな気持ちなのか考えることでも育まれるため、協調性を伸ばすために挨拶はとても効果的といえます。
親が取っているコミュニケーションを見せる
親が友達と仲良くする姿をみせることも子どもの協調性を育む方法として大切です。友達との会食はもちろん、友達を家に招いて楽しい時間を過ごすこともよいでしょう。親自身が友達と楽しく過ごす姿を見て、友達と一緒にいることは楽しいことだということをしっかり把握させることができます。
また、両親の仲が良いことも子どもの協調性を育むためには重要です。子どもは何よりもまず身近なコミュニティである家庭からコミュニケーションの基本を学びます。両親が協力しあったり仲よくしたりしている姿は、子どもの情緒安定に繋がるとともに、自分の意見を持って行動することの土台となり、理想の人間関係をみせることにもなるでしょう。
他の人の立場に立って物事を考える癖をつけるように促す
他の人の気持ちを考えることも協調性を育むためには重要です。自分とは違う気持ちがあるのだということを知ると協調性が育まれます。お友達と喧嘩をしてしまった時に「なぜお友達はあんなふうに言ったのかな」と考えることで、相手の立場に立った考え方ができるようになるでしょう。
お子さんが小さいうちは、普段の遊びの中で相手の気持ちを考えるように促すこともできます。例えば絵本を読んだ時に、登場人物の気持ちを子どもと考えてみましょう。「このとき、どんな気持ちだったと思う?」と声かけをすることで、子どもは登場人物の気持ちを想像して考える癖がつきます。
ルールを守る意識をつけさせる
生活の中でルールを守らなければならない場面はたくさんあります。その中で協調性を高められるのは、ルールを守ることで自分以外のみんなが嫌な気持ちにならずに楽しく過ごせるという場面です。
例えば、公園に遊びに行ったときに「ブランコを10回漕いだらお友達と交代する」「滑り台で滑る順番を守る」「滑り台は逆から登らない」などルールを守る意識をつけさせましょう。ルールを守ることで、自分もお友達もみんな同じ回数遊べ、誰も嫌な気持ちにならずに過ごせるこということを経験し、そこから協調性が育まれていきます。
協調性を育むゲーム・習い事
ゲームや習い事でも協調性を育めます。ここからは、協調性を高めるゲームや習い事について説明していきます。
ゲーム
協調性を育み高めるためには、トランプやカルタなどのカードゲームやすごろくのようなボードゲームなど、年齢に応じたゲームの中でルールを守る意識を持つことが大切です。一定のルールがあり、それに沿って何人かで楽しむゲームは、「物事にはルールがある」ということに気づくきっかけとなるからです。トランプ・カルタなどのカードゲームやボードゲームなど年齢に応じたゲームを家族やお友達と楽しんでみましょう。遊びながら協調性を育むことが可能です。まだカードゲームなどで遊ぶことが難しいお子さんは、ごっこ遊びを取り入れると良いですよ。
ごっこ遊び
おままごとなどのごっこ遊びは、遊びの中で協調性を育むためにとても良いです。ごっこ遊びの物語を進めるためには、相手とコミュニケーションをとることが必須だからです。「お母さん」「お店屋さん」「先生」など役を決めてその役割をこなしたり、相手の言葉や行動に合わせたりする必要がありますね。お友達や家族とコミュニケーションを取り、協力しながら物語を進めていくことで、協調性が育まれます。
習い事
チームスポーツやダンスなど集団で行うものを習うことも協調性を育むことに繋がります。
集団活動の中で自分とは違う考え方・個性を持った仲間と一緒に行動をすることは、視野を広げ、周りと協力しながら目標を達成することで協調性を育めるからです。ここでは、協調性を育むおすすめの習い事を4つ紹介します。
チームスポーツ全般(サッカー・野球など)
協調性を育むおすすめの習い事1つ目は、チームスポーツ全般です。勝つためにお互いに助け合ったりルールを守ったりする必要があるからです。また、仲間が何を求めているのか、自分はそれに対してどのように動いたら良いのかを考える必要もあります。サッカーや野球、バスケットボールなどチームスポーツであれば、どの競技でも協調性を育めるでしょう。周りをみて自分がすべきことを素早く判断する力を養うとともに協調性も育まれます。
ダンス・バレエ
協調性を育むおすすめの習い事2つ目は、ダンスやバレエです。決められた振り付けを仲間と一緒に踊ることが多いためです。曲に合わせて仲間と振りのタイミングを合わせるだけでなく、素敵な発表会になるように仲間とたくさん練習をし、協力する中で自然と子どもの協調性が育まれます。
囲碁・将棋
協調性を育むおすすめの習い事3つ目は、囲碁や将棋です。ルールが厳格に決められている囲碁や将棋を習うことで、子どももルールに対して厳しくなります。囲碁・将棋を通して、物事には決められたルールがあり、それらは守らなければならないものだ、と思うようになります。また、自分よりもかなり年上の人と対局することで礼儀も学べるでしょう。
ボーイスカウト
協調性を育むおすすめの習い事4つ目は、ボーイスカウトです。ボーイスカウトでは、異なる年齢の子どもたちとキャンプやボランティアなどの活動を行います。自分とは異なるさまざまな考えに触れながら、自分に与えられた役割をやり遂げることが求められます。活動の中でチームの一員としての意識を高め、協調性を育むことに繋がるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。協調性とはどのようなものなのか、協調性を高めるために家庭でできることや協調性を育むゲーム・習い事について解説してきました。幼児期は協調性を育むための大切な時期で、その土台をしっかり作ることで協調性がどんどん高まります。お子様が良好な人間関係を築けるように、今回紹介した方法を家庭で取り入れてみてくださいね。