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放課後等デイサービスを開業するための条件と、成功させるために抑えておくべき開業の流れ
知的障がいや発達障がいを持つ子どもは年々増加傾向にあり、放課後等デイサービスの需要は現状高まっています。厚生労働省の「放課後等デイサービスの現状と課題について」という資料の中でも、子どもの出生数は減少傾向であるのに対し、放課後等デイサービスの利用児童数は、平成26年度から令和元年度の間で約2.6倍に増加していると報告されています。
放課後等デイサービスの利用状況
子どもの出生数は減少傾向にあるところ、放課後等デイサービスの利用児童数は、平成26年度から令和元年度で約2.6
放課後等デイサービスの現状と課題について – 厚生労働省
倍となっている(このほか、20~44歳の女性の就業率は、平成26年から令和元年にかけて約7%程度上昇、通級による指
導を受けている児童生徒数は平成26年度から令和元年度で約1.6倍、放課後児童クラブの利用児童数は、平成26年から
令和元年で約1.4倍(利用する障害児数は1.5倍)という状況)。
こういった社会の動向から、高需要かつ社会福祉に貢献できる仕事として魅力を感じ、放課後等デイサービスの開業を考え始める方が増えています。しかし、開業といっても「何から始めるべきか」「何の資格がいるのか」「何から手を付けるべきなのか」など悩まれている方も多いでしょう。
「興味はあるけど、開業するのはなかなか難しそう」
「開業するにあたってどういうノウハウが必要になるのか知りたい」
と、いう悩みはこれから放課後等デイサービスを開業したい!と考えられている方なら当然です。この記事では、数多くの放課後デイサービスに導入実績のある天神が見た、「放課後等デイサービスを開業するにあたり、その条件や手順に加えて成功させるためのポイント」を紹介します。
これから開業しようと考えている人、開業に興味がある人、ぜひ一度この記事を読んでいただき実践してみて下さい。
放課後等デイサービスを開業するための条件・資格
放課後等デイサービスを開業するにあたり、経営者に資格や経験は不要とされています。しかし、放課後等デイサービスは社会福祉事業であり、障がいを持つ子どもへの適切な支援を求められる場所であることを忘れてはいけません。経営者は関係者と協力し合いながら上手に運営していく必要があります。
放課後等デイサービスを開業するにあたって条件がいくつかあるのでご紹介します。
- 法人格であること
- 人員配置基準を満たしていること
- 設備基準を満たしていること
- 運営基準を満たしていること
ここからは各条件について詳しく解説します。
法人格であること
放課後等デイサービスを開業するためには法人格の獲得が必須であり、個人運営はできません。法人格には下記の2種類があります。
- 営利法人(株式会社、合同会社等)
- 非営利法人(社会福祉法人、医療法人等)
設立するにあたって条件が異なるため、運営方針に合わせた選択が必要です。
人員配置基準
放課後等デイサービスを開業・運営するためには一定の人員配置基準を満たす必要があります。
職種 | 人数 | 資格について |
管理者 | 常勤で1名 | 資格不要 |
児童発達支援管理責任者(児発管) | 専任かつ常勤1名以上 | ・実務経験 ・サービス管理責任者研修と相談支援従事者研修2つの研修の修了者 |
児童指導員 または 保育士 | ・どちらか1名以上常勤 ・児童が10名まで→2名以上児童が10名以上→児童10名から5名以下ごとに1名加える ・職員の半数以上配置 | 児童指導員 ・定められた学歴や実務要件などを満たした、児童指導員任用資格保有者 保育士 ・保育士資格所有者 |
ここからは各職種について詳しくご説明します。
管理者
常勤で1名の配置が必要です。原則、事業所の管理業務に従事します。また、管理業務に支障がないときは他の職務と兼務が可能です。
児童発達支援管理責任者(児発管)
児童発達支援管理責任者とは、障がいを持つ子どもたちの個別指導計画や提供するサービスの管理を担う職業です。専任かつ常勤で、事業規模に応じて1名以上の配置が義務付けられています。
児童発達支援管理責任者になるためには、以下2つの要件を満たす必要があります。
- 定められた分野での実務経験
- サービス管理責任者研修と相談支援従事者研修の両研修を修了
児童指導員・保育士
放課後等デイサービスには児童指導員や保育士の人員配置も必須です。児童指導員・保育士は1名以上が常勤で、職員の半数以上を配置しなければいけません。また、必要人数にも以下のような規定があるため注意が必要です。
- 児童10名まで→2名以上
- 児童10名以上→児童10名から5名以下ごとに1名加える (例:児童13名の場合→児童指導員または保育士が3名以上必要)
設備基準
放課後等デイサービスを開業するためには整えるべき設備もあります。
- 発達支援室
- 事務室
- 相談室
- トイレ、手洗い場
他にも、抱えている障がいによっては仕切りのあるスペースを確保できる場所や横になって休憩できる静養室があるとより良いとされています。ここからは上記の各設備について詳しくご紹介しますので、参考にしてください。
発達支援室
発達支援室とは、子どもたちがプレイルームとして過ごす場所で、支援を行う部屋でもあります。広さに基準があり、児童発達支援センターの基準では子ども1人当たりの床面積2.47㎡以上とされていますが、各自治体によって異なるため必ず確認しましょう。
事務室
職員が事務作業を行ったり備品を収容したりする場所です。広さに規定はありませんが、作業を行える広さの確保をおすすめします。また、重要書類の保管には鍵付きの保管棚などの設置も必要です。
相談室
利用者やその保護者と面談や相談を行う場所として、相談室を配置する必要があります。話している内容が漏れないようにするなど、プライバシーに配慮した空間づくりが大切です。
トイレ・手洗い場
放課後等デイサービスは子どもたちが生活する場所であるため、トイレと手洗い場も当然必要です。トイレと手洗い場は分け、衛生面に注意しましょう。石けんやペーパータオルも設置します。
運営基準
放課後等デイサービスを運営するためには、運営についての基準を基に各事業所で規定を定めなければいけません。そしてその概要については重要事項説明書を使って利用者に説明する必要があります。
- 利用定員数
- 個別支援計画の作成
- サービス内容・手続きの説明、同意
- 利用者の指導・訓練の実施
ここからは各運営基準についてご説明します。
利用定員数
放課後等デイサービスにおいて1日あたりの規定利用定員は10名以上です。ただし、主な利用者が重症心身障がいをお持ちの場合、定員は5名以上となります。定員人数が定められた割合を超えると定員超過利用減算がかかる場合があるため注意しましょう。
個別支援計画の作成
個別支援計画とは、児童発達支援管理責任者が作成する書類で、個々に応じた将来的な目標や支援内容を記載したものです。利用者である子どもの発達過程をよく理解した上で作成する必要があります。そしてこの個別支援計画は、学校が作成する「教育支援計画」と連携させることが求められています。
サービス内容・手続きの説明、同意
放課後等デイサービスの設置者や管理者は、利用する子どもやその保護者がサービスを円滑に利用できるよう、わかりやすい説明をしなければいけません。また、それに対する同意と適切な支援を行う責任があります。
利用者の指導・訓練の実施
個々の発達に応じて、必要な自立支援の指導や訓練を実施します。生活習慣などの自立支援だけでなく、子どもの自己肯定感を高めることも目的です。そのため、成功体験を積めるよう、子どもが積極的に参加できるプログラムの構成を考える必要があります。
放課後等デイサービスを開業する流れ
放課後等デイサービスを開業するためには、半年〜1年ほどの準備期間が必要と言われています。特に資金調達や法人設立など、申請に時間がかかることは早めに取り掛かり進めましょう。あらかじめ、開業予定エリアの管轄である自治体を確認し、窓口に行って挨拶や相談をしておくのもおすすめです。
- 事業計画書の作成
- 法人設立(法人登記)
- 資金調達
- 物件探し・改装
- 集客
- 従業員採用
- 申請窓口への申請・必要書類の確認
ここからは各項目について詳しく解説します。
事業計画書には、どのような方向性で放課後等デイサービスを運営するのかという内容や、周囲の競合事業所の有無や情報等を記載します。予算計画や職員体制もしっかりと検討し、事業方針や運営目標を明確にしましょう。また、事業計画書は運営の基盤となるだけでなく、開業の許認可申請時にも提出が求められる書類です。
前述した通り、放課後等デイサービスは法人格が必須であり、取得するためには法務局で法人登記を行う必要があります。法人登記の手続きには会社の役員や株主等の決定、定款や役員の同意書といった書類の作成をしておかなければいけません。また、法人格はその形態によって設立の費用や条件が異なるため、早めに確認し計画を立てることが大切です。
放課後等デイサービスを開業するためには900〜1500万円ほどの資金が必要と言われています。もちろん、それだけの費用を貯蓄してからの開業は簡単ではありません。そのため、開業のための資金を調達する必要があります。資金調達には金融機関からの融資制度等が挙げられますが、機関によって手続き時期や条件が異なるため注意しましょう。
また、資金が足りない場合は補助金や助成金に関しても検討しておきましょう。補助金・助成金に関しては下記記事でまとめていますので、資金調達に関する悩みがある方はこちらも参考にしてみてください。
開業予定エリアでの物件探しも非常に重要で時間がかかる準備の1つです。まずはエリア内の地域性や教育機関の状況について調査し、集客が望める場所かどうかの選定をします。また、設備基準や建築基準を満たしていない物件の場合、改装が必要になることもあるため、視野に入れておきましょう。
開業するエリアが決まったら、集客活動を行います。まずは開業する放課後等デイサービスの存在を知ってもらうことが大切です。近隣の教育機関に働きかけたり、事業所説明会や体験会を実施したりするなど、様々な営業活動を行い、定員数に近い利用者の確保を目指します。
また、集客に関しては下記記事で集客する上での実践的手法をまとめていますので、集客に関する悩みがある方はこちらも参考にしてみてください。
前項でも触れたように、放課後等デイサービスには専門職の人員配置が必要不可欠です。資格所有者の人選は簡単ではありませんが、配置基準ぎりぎりの人数で運営を開始してしまっては、職員の負担が増え、離職者を出してしまうなど悪循環に陥ります。そうならないためにも採用人数や業務過多に注意して働きやすい職場環境をつくりましょう。採用方法はハローワークへの登録やインターネットでの求人広告など様々な方法があるため、人材に対する事業所の考え方や費用に合ったものを選びます。
放課後等デイサービスを開業するためには都道府県や市区町村からの許認可を受けるための申請手続きが必要です。許認可申請をする際に必要な書類は数多くあるため、余裕をもって準備することをおすすめします。下記サイトは東京都で申請を行う場合の必要書類が記載されているページです。ぜひ参考にしてください。
指定申請のしおり – 東京都福祉局 –
※PDFがダウンロードされます
申請が受理されると指定事業者として決定され、その後管理者の指定時研修を経て事業開始となります。
開業資金とその内容
放課後等デイサービスの開業資金は他の業種と比べると低コストで始められると言われていますが、高額であることに変わりはないため失敗は許されません。そのため、開業や運営をするにはどういった物や事柄にどれだけの費用が必要なのか把握し予算計画をしっかり立てることが重要です。
ここからは開業前に必要な「初期費用」と運営するために必要な「運転資金」に分けてご紹介します。
初期費用
前述したように放課後等デイサービスの初期費用は900〜1500万円とされています。内訳は以下の通りです。
費用名 | 概要 | 金額 |
法人の設立費用 | 法人を設立する際の税金など | 約6~20万円 |
不動産にかかる費用 | 家賃や敷金礼金など | 約300万円 |
保険費用 | 損害賠償保険や火災保険など | 約8万円 |
従業員の求人広告費用 | 求人広告媒体での募集など | 約50万円 |
集客活動にかかる費用 | パンフレット作成費など | 約50~70万円 |
備品の購入費用 | 机やいすなど、設備や支援に必要な備品購入費 | 約100万円~ |
送迎車の購入費用 | 送迎を行う場合の車両費や自動車保険代など | 約350万円~ |
運転資金
運転資金とは放課後等デイサービスを運営するために必要な毎月かかる費用のことです。開業後は収入があるため安心と思われている方もいらっしゃいますが、主な収入源である障害福祉サービス費の入金はサービス提供を開始した月の2ヶ月後からとなります。つまり、事業開始から2ヶ月間は収入がほぼ得られないため注意が必要です。
規模や地域にもよりますが、放課後等デイサービスの運営にかかる1ヶ月の費用は、家賃や人件費を考えると100万円以上と見積もっておきましょう。開業当初から利用者が集まるとも限らないことを考慮し、半年程度(600〜800万円程度)の運転資金を前もって準備しておくことをおすすめします。
放課後等デイサービスを成功させるためにするべきこと
開業作業が落ち着いたら、次は利用者を増やすために必要な施設の在り方について考えてみましょう。放課後等デイサービスの運営を成功させるためには以下3つの方法が重要なポイントです。
- 差別化できる強みを作ること
- 保護者のニーズを読み解くこと
- 集客方法を確立する事
ここからは各項目について詳しく解説しますのでぜひ参考にしてください。
差別化できる強みを作ること
需要が高まっていると言っても、放課後等デイサービスは数多く存在します。そのため、他の施設にはない独自の魅力をアピールして差別化を図りましょう。送迎があることや子どもが楽しめるプログラム内容を組むこともアピールポイントとして有効です。「この施設だから〇〇できる」という持ち味や強みを数多く浸透させることで施設の価値を高め、需要が高まります。
保護者のニーズを読み解くこと
放課後等デイサービスを成功させるためには、なんといっても保護者のニーズを読み解き応えることが重要です。「コミュニケーションスキルを養ってほしい」「生活習慣の自立を目指したい」など、保護者の考えや思いを汲み取りながら支援プログラムを考える必要があります。また最近の傾向としては「学校や家庭ではできない体験をさせてほしい」というニーズが増えていると言われています。保護者が施設に何を求めているのかを正しく理解し応えられるよう努めましょう。
集客方法を確立すること
集客方法の方向性を決めておくことは放課後等デイサービスに限らず重要なポイントです。各施設の状況に応じた集客方法を導き、経営者とスタッフとの間に考えの違いがないよう施設内での共有を徹底します。ときにはアイデアを出し合いながら、より良い集客方法の確立を目指しましょう。
まとめ
放課後等デイサービスを開業するための条件と、成功させるために抑えておくべき開業の流れについてご紹介しました。
事業開始に向けてスムーズに進めるためには、事業計画や予算計画をしっかりと立てて運営目標を明確にすることが重要です。また、独自の強みを作ることで競合施設との差別化を図ったり、利用者や保護者のニーズに合わせた支援を行ったりすることが放課後等デイサービスを成功させるための鍵となります。自施設の状況に合わせた集客施策を行い、サービスの質の向上を目指してください。
・差別化できる強みを作ること
・保護者のニーズを読み解くこと
・集客方法を確立する事
特に上記の点を気に掛けて実行する必要があります。
しかし、集客手順や集客手法がわかったところで他事業者との差別化は難しい、、、
分かった気がしてもポイントをおさえながら実際にするのは大変そう、、、
と考えてはいませんか?
もっと手軽に簡単に保護者の期待にマッチした、かつ、差別化した強みがほしい、、、
と。
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